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2012年10月

小数計算

例えば 2+0.3や0.3+2のような、整数と小数が混ざったたし算やひき算は誤りが多い。大人にとっては簡単そうだが、児童には小数の位が難しい。つまり、小数には分離量が伴っていないため、0.3は3に見えて(分離量化)、実は3ではないことが難しい。

一般的に珠算の小数計算には、加減算を教えず、乗除法を教える。これは「計算の意味」より重大な「数の意味」を教えないということに等しい。

数の意味の中には、当然、数の構成、数の大小、数の順序性が含まれている。その意味を理解した後で、合併や分解が成り立っている。つまり、数の意味を理解できたならば、小数の加減法をしっかり定着させることが、逆に小数の意味が還元されるのである。

ただ単に「たし算」「ひき算」という考え方はやめた方がよい。むしろ「加減算」として可逆性を含めて学習した方が、今後の小数の乗除法にもプラスに働く。

そろばんを使って、簡単な小数の加減算を学習することに大きな意味があるので、間違えて暗算で指導しないことが重要である。

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5の分解

一般的に計算の前に「計算の意味」を教えることは当たり前である。これは、算数に限らず社会や理科でも言えることである。

5-1は、「4を入れて 5をはらう」だけで、果たして分解が理解できるだろうか?

計算上は、4-1も5-1も同じであるから、「ひけない」という指導はおかしい。まず、具体的な意味をつけて、「ひけない」のではなく、「はらえない」というイメージをつけさせることが大切である。

そこで、『2A』のように具体的な意味から、5の分解を導けば自然にできるようになる。これにより、「運珠法」や「ともだち(1のともだちは4)計算」はまったく不要となるのである。

特に、「ともだち計算」は、大人的な考えだから、児童の思考にとっては、逆に難しいのである。「なんで、ともだちなのか?」を質問されたらどうするかだ!ましてや学校で「ともだち計算」なんか教えないわけだから、これこそ大迷惑な話だ!

児童も日常生活をしているわけだから、具体的な事例から指導した方が、計算を使う場所も分かるようになる。

要するに「5の分解」は、「数観念」が獲得できたら簡単にできることである。

さらに「関係図」を使って、「払ったお金」「使った代金」「おつり」を示せば、数量関係の意味も深まるわけだ!!!

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座標的な捉え方

幼児は、「数唱」から「計数」、「数観念」、「数直線」へと発達していく。テキストは系統立てて編集されているので、『KIDS』で育った幼児は、自然に理解度が深まっていく。つまり、無理をしなくても、だいたい1学年の算数が理解できるのである。

ただし、もともと数学的能力の高い幼児には、ハードルが低く感じられることもあるので、その点は指導者が能力に合わせて、適切に問題を変化させることも大切である。

数表は、数を順序系列にそって表すことができるが、中には逆数唱や座標的な使い方も可能となる。とくに座標は二次的な思考力を必要とするので効果的な学習にもなる。

ただし、分からない場合は無理はしないこと。

※長崎には、「わからん文化」というものがある。これは「和(わ)華(か)欄(らん)」
(日本、中国、オランダ)が混ざった文化

指導もいろんなものを混ぜると、「わからん教育」になり兼ねないので注意して欲しい。

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そろばんと保存性

そろばんを習うと暗算が強くなるのは、数を図として捉えるからである。例えば7は、5珠1個と1珠2個(珠3個)で済む。確かに計算には都合がよいが、数の認識としてはマイナスになる。

『KIDS』では、絵(具体物)と計数そろばんを対応させ、7=5+2以外に、7=3+4 7=1+6等も当然認識させる。さらにパズルを使って、モノが移動しても全体の数は変わらない「保存性」も理解できるようになる。

「数は集めたり、分けたりできるものである」ということが前提になければ、計算の土台となる合成分解は理解できるはずがない。

つまり、幼児や1学年には、合成分解を教える前に保存性をしっかり獲得させておくことが重要となる。それを無視して計算へ導くならば、訓練で覚えさせるしかないだろう。

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明日の珠算を考える会

10月8日(月)に東京(御茶ノ水 ガーデンホテル)で開催された「明日の珠算を考える会」に行ってきた。珠算の先生の講習会とあって懐かしい顔の先生もいて、たまにはSSKCLUB以外の講習会もよいものだと思った。

今回は中島先生が講師ということで、本人もずーっと気合(緊張)が入っていたと思うが、普段の知識を存分に話せたと思うのでまずは成功であろう。

SSKCLUBの教育理念は「算数と珠算の融合」であるが、『論語と算盤』を書いた渋沢栄一は、次のように論じている。

「論語を拠り所にして道徳(論語)と経済(算盤)の両立を揚げ(道徳経済合一説)、利益を求める企業活動のなかに倫理が必要である。企業は利益を独占せずに、国全体を豊かにするため社会にも還元するべきである。」

これは、あの有名な「ドラッカー」も「公共の利益が自らの利益を決定するといえなければならない」と同じことを論じている。

珠算を公共の利益に還元するとは何だろう?昭和時代ならば「計算機」としての珠算教育でよかったが、現代ではそれは成立しないことは誰しも承知しているはずである。

万人の児童の算数力をUPさせるならば「公共の利益」に還元することができる。したがって、SSKCLUBが目指しているものは、現代社会でも通用する珠算教育であるということになる。

日本が「ハイパーインフレ」になった時、現在置かれている珠算教育も大きな改革を強いられることになる。これから珠算教育を背負う若者には、将来のビジョンをしっかり持って教育者の名に恥じない指導者になることが重要であろう。

                     

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あまりのあるわり算

1学年にとって「あまりのあるわり算」は難しい。算数(3学年)でも「分からない児童が沢山いる」という報告を聞けばなお更であろう。

そろばんは、「計算器」というイメージがあるが、上手く使えば「教具」としても活用できる。つまり教え方(教材)を転換すれば容易となる。

11÷2→13÷2(ABACUS5)と展開した場合、11÷2を「2の段で11にちかい九九を探して」と発問しても、数字は言語でもあるから、11の中に10が見えているわけではない。ところが、そろばんに布数した11は、10が包含されて見える。

この時、11の中に10が見えていることは、児童も分かっている。そこで、11÷2を「10÷2と考えてみたら?」と発問すれば、簡単に5を導くことができるようになる。

次に13÷2は、13も11と同じように10と見るので、写真のような誤答が一時的に発生するが、13÷2は、12が包含されていることに気がつけば、今後は自ら包含数(包含式)を発見できるようになる。

指導者が「近い九九を探して」という発問より「包含されている割り切れる数を見つける」方が、はるかに児童は理解し易い。

更に11÷2=5あまり1 → 11=2×5+1と転換すれば、10÷2の捉え方が何故良いのか再認できる。

問題を見ると、全て知覚的包含数で構成されている。

つまり、基本をしっかり認識させた後に、3桁÷1桁の計算を学習することが重要ということだ。

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チップと十進位取り記数法

23をそろばんで表す場合、そろばん珠を2こ(十の位)、3こ(一の位)と布数すれば簡単にできる。しかし、記数法は相対的な数が根底にあって成り立っていることをしっかり指導しないと、形式的な知識だけで終わってしまう可能性が高い。

『KIDS4』で「チップ」を使って、記数法を学習するが、はじめから10ずつの束(束の原理)を作る幼児はいない。もともとは、計数から派生した以上、チップをバラバラに数える方が自然である。家庭でも当たり前のようにバラで計数しているはずである。

それを拡張して記数へ導くには、算数上の手続きを無視してはならない。ましてや、そろばん珠2個と3個で23と無理に教えても、量感が伴わなければどうにもならないだろう。

チップは、相対的や構成的に捉えられる最高の教具である。チップを使って数を拡張すれば、年長児でも楽々100が理解できるようになる。

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