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2012年7月

広島県本部講習会

日曜日、今期最初の本部講習会、「広島県本部講習会」が開催された。

「この暑い中、講習会の開催とは?」と考える人もいるだろうが、暑くても寒くても仕事に季節は関係ないということだ。

自分にとって夏は大好きな季節であるから、カンカン照りの気候は、たまらなくエネルギーが湧き出てくる。この変人具合は、季節感から来ているのかもしれない。

さて、今回のテーマは、『わり算1』『わり算2』『ABACUS5』と、わり算のオンパレードであった。わり算は、他の演算に比べて複雑な構造をもっていることから、テキストについては、かなり編纂した。

そして『わり算2』は、特に、従来の珠算に盛り込まれていないパーツで構成されているので、非常に魅力的な内容が詰まっている。また、そろばん珠を多く使っていることで、学習している内容がどう働くのかも、児童にとても見やすくなっている。

つまり、「機能的学習環境度」が高いということだ。

したがって、このテキストを使わないで、わり算を語ることはできないということになる。

「わり算1」と「レッスン5」の併用は、環境を変えて能力を引き出す点においても、ただ単にトレーニングするより高い効果が得られる。(ホーソン効果)

今回の講習会は瀬川先生をはじめ、沢山の先生方に助けて頂き、価値ある講習会ができた。心からお礼申し上げます。

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数の抽象化

幼児期は「数え足し」と「数観念」の混合時期である。したがって、計数そろばんで数を合併させた後は、計数そろばんの数を読み取らせないと、数え足しから脱出することが難しくなる。

例えば、トランプカードから「合わせていくつ」と発問しても、視覚が優先するから、図柄を数え足して答えるのが殆どである。つまり、数え足しで解答が得られるならば、「合併」の意味は理解できないということだ。これでは、合成分解の良さを理解できないわけだから、それを使うことも面倒になるだろう。

合併は分ける意味を伴っているから、必然的に分解も理解できるようになる。したがって、この学習の大切な順番を間違えると、数観念の獲得はさらに遠のくわけである。

『テキスト』の問題を解かせても、指導者が数え足しに注意を怠ると、計算そろばんの長所が消えてしまう可能性がある。解答は、くれぐれも布数した数を読み取っているかどうかを、再度確認して欲しい。

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『メートルワールド』質問

☆ デシ・デカ・ヘクトの単位が、算数教科書に掲載されていることを初めて知りました。1月位から6年生に指導したらよいでしょうか。

また、『算数テキスト』について、学年ごとに合わせるのか、能力に合わせるのかが分かりません。

回答

『メートルワールド』については、各教科書会社によって導入時期が異なりますが、10月頃から指導すれば問題ないと思います。
『メートルワールド』の学習は、ただ単に「メートル法」を覚えさせるだけでなく、中学の数学・理科でも通用するような一般化された能力の向上に繋げることが大切です。さらに、「メートル法」を勉強することが、論理的な思考力を養い、日常生活にも活用できることを知らせるのも重要です。

学習はあらゆる事柄が「プラスに働く転移」を伴うことが多いので、珠算教育も計算力を機能的な学習(生かす・見える)にすることが重要です。そのためには、『算数テキスト』を最適な時期に最大限導入することが大切です。

『テキスト』の導入手順については、「学習マニュアル表」を参考に進めて下さい。

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全国大会(KIDSドリル)の質問

『KIDSドリル №1(3)』「どうぶつは なんびきでしょう。」は、イラストが同じ動物が2匹ずつペアになっているのは何故でしょうか?(10匹ずつ数え易くする為?)

「動物の名前を書いてみましょう。」は、一次概念の確認の為と捉えてよいでしょうか?

回答

「2匹ずつ並んでいる」と思うことが誘因となり。2匹ずつ数えてみようと、動因されるわけである。ここに気が付くかどうかは、幼児の知識が関係しているので、指導者は特別な指示を与えない方がよい。

ただし、最後のライオンが1匹(最後の列が13匹)であることは、3列目だけは、数は少ないということになる。ただし、視覚的な幅が同じであるので、誤答の可能性を含んでいることになる。

また、名前を書くことで、「名前の数と動物の相対的な数は異なること」を指導することが大切である。一次概念については、この段階では拘る必要はない。

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全国大会(KIDSドリル)の質問

☆ 『KIDSドリル 解説書』 P2で、「1対1対応か計数によるが、計数の必要性を確認させるために、両者を用いることが望ましい」は、例えば玉入れ方式で「1対1対応」をさせているにすぎませんか?

回答

一般的な幼児の発達段階は、1対1対応が最適だと思うが、既に『KIDSテキスト』やチップで学習済みなので、計数へ導くことを目的にしてよい。ただ、この場合、漠然と計数をさせるのではく、対応を含めることで計数の良さが引き出される。

対応も計数も「多少判断」としては、同じ結果を表すが、計数と対応のどちらを用いるかは、幼児が弁別する以外に手立てはない。それをどのように導くかが、指導者の手腕に掛かるであろう。

また、玉入れについては玉と数詞が音声的な把握のみとなってしまうので、書字してある具体物の計数とは異なる。要は、書字してあるものの計数の方がレベルが低い学習となるので、対応と計数がしっかり定着している幼児ならば、玉入れは効果的な学習となると思う。

したがって、レディネスを間違わなければ学力は向上するが、この逆をすれば学習困難に陥る。つまり、一人ひとりの「生育暦」を、幼児期は特に留意して読み取ることができれば、『KIDS』は自由自在に扱うことが可能となり、世の中に一つしかない最高の教材となるであろう。

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全国大会(ABACUS3ドリル)の質問

先日開催された全国大会の講習会に対する質問が届きましたので、解説を含めて回答をします。

☆ 『ABACUS3ドリル P15』 みとり算 ① 5+6+7-4+6

・ 5+6を「5-4」、5-4を「5+6」と誤って計算する児童がいます。5の合成分解のやりすぎでしょうか?

回答

このような混乱は、まず、「たし算なのか」「ひき算なのか」の認識不足が考えられます。「5-4」は、「4を引く」ということで済まされますが、「5+6」は、「4を引く」のではなく、「5から4をとって、10をつくる」というように、言葉の変化をつけないと、混乱を招く恐れがあります。

特に、先生が言葉を頻繁に使うと、聴覚的な学習が過剰となります。したがって、児童は数理より聴覚を頼るようになります。これは「九九」と同じで、数理的な考察ができる児童は、誤答を修正できますが、九九を丸暗記(暗唱)した児童は、誤答さえ気付かなくなります。

このように、合成分解は、運珠法にたし算とひき算が混合されますから、数理が弱い児童は、先生の言葉が何を意味しているのかが分からなくなるということです。

したがって、「たし算とひき算は、根本的に違うんだ!」という児童の統合化が大切となります。ただ単に、「こうなんだろう」という行動は、注入しているに過ぎないので、その点を指導者は大いに反省することが重要です。

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計数力

『KIDS2』から、本格的な数観念の学習に入る。とりわけ、合成分解と計数力が難しいのは、「教えようと思っても 簡単に理解できない」ところが大きな要因である。

例えば数唱。数唱自体は、風呂場で毎日練習すれば可能であるから簡単に習得できる。つまり、「何回も繰り返せばよい」ということだ。このような原始的な指導は、行動主義から引き継いでいるため、一見学習としては優れているように思えるが、それは賞罰と同じで一時的であると思った方がよい。

動物を24匹数える場合、「数詞」と「対応」が同一でないと計数は成り立たない。ここで誤答がある場合は、指導者が数詞に合わせて対応を一定の速さでサポートすることが大切である。

学習は、いろいろな要素がからみ合って成り立っているわけだから、指導者の知識量は重要である。珠算教育といえども「博学多才」であった方がよいことは言うまでもない。

さらに今後「出藍之誉」が現れることを願って止まない。

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メートル法

全国大会で講話した『メートルワールド』に関連した内容が、全珠連の『珠算春秋』に掲載された。【上垣 渉先生(岐阜聖徳学園大学教授)】

単位の換算に関する問題で、「4km25mは何mですか」という問題では、多くの子どもが「425m」と答えるのです。このような問題も、そろばん上に4km25mを置いてみれば、百の位が空位になることは一目瞭然であり、4025mが正解であることがずぐに理解できます。
一般的に、小学校で学習する一番大きい単位は「キロ」であり、一番小さい単位は「ミリ」であって、その間には十進法にしたがって10倍ずつ大きくなるという仕組みになっています。現在使用されている国際単位系(SI単位系)における「SI接頭語」のうち、キロからミリまで用いて、メートル、リットル、グラムを一覧表にすると、下のような法則性に構成されていることがわかります。(以下略)

確かに4km25mは、425mの誤答が多いということは『メートルものがたり』でも証明されている。ただ、そろばんに布数しなくても、4km=4000mという「単位の換算」と数の構成がしっかり定着していれば、確実に誤答は防ぐことができる。

したがって、4km25m→4km+25m→4000m+25m→4025mと、構造を理解していることが重要で、さらに「メートル法」で数量関係を伴ってくるわけだから非常に難しい問題に化ける。

算数でも誤答が多い「単位の換算」、「メートル法」を教えられる『テキスト』を、どう捉えるかは、今後の珠算界の明暗を分けることに直結する気がしてならない。

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全国大会IN香川

7月7日・8日の両日に開催された全国大会が終わった。今回のテーマ、「メートルワールド」「KIDS/ABACUS3」は、香川で初めて講話したが、ほぼ思い通りの内容が話せたので自分としては「OK」だと思っている。

これから本部講習会が始まるが、既に「メートルワールド」の演題が各県から上がってきている。同じ演題でも、全国大会とはまた違った切口で話すので、参加する方は予習を怠らないように臨んで欲しい。

今回は「四国新聞」の取材、懇親会の歌と踊りもあり、講習以外でもバラエティーに富んだ内容だったと思う。これも香川の先生方の心暖かいおもてなしと配慮の賜物と思う。会の代表として改めて感謝したい。ありがとう。

SSKCLUBの入会の動機はそれぞれ違うが、入会後は、同じ志を持っていなければ存続は難しい。特に現代のように厳しい時代は、知識の獲得と使用が重要であろう。

これにはまず、講習会に参加(行動主義)したり、同士と語り合うことも大切な要因である。一見無駄なように思えることが、実は非常に大切なことであることも多いので、現状に甘んじる事無く自分が入会した頃に心を帰属することも、時には必要である。

来年は、東京で開催されるが、もう既に気持ちはカウントダウンが始まっているので、明日からは東京の全国大会に向けて頑張って努力したい。

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金城幼稚園

金城幼稚園(金沢市)の教育講演会が無事に終わった。全国大会1週間前だったこともあり、滞り無く終了してホッとしている。

今回は「学習の動機付け」をテーマに、講話1時間と質問30分という内容だった。

幼児期になると、母親に対する「万能感」が「条件付承認」に変わる難しい時期である。この時期に誤った学習をすると、一気に学習意欲は低下するので気をつけて欲しい。

例えば「九九」、九九に関して「覚えれば計算ができる」という考えは危険だ!九九と言えども、意味が伴っていなければアウトである。つまり、同数累加が無ければダメだということになる。

とかく早くから家庭で九九を教えてもらった児童は、分からない九九を、必ずと言っていい程、はじめから唱える。これが「強制的暗唱九九」というものだ。暗唱しても、九九の構造が分かるとは限らないので、九九の知識とならない。知識でない学習は忘れることも早いし、拡張することもできない。

つまり、安易に覚えたものは系列思考を伴わないことから、部分と全体のバランスをとることができない。ましてや、わり算との可逆性などとんでもないことになるだろう。したがって、学習は、手順を間違えず、「わかる」ということを基本にすれば、内的動機付けに拍車がかかるだろう。

これは珠算の先生にも言えることだから、よく覚えておいて欲しい。

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