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2012年3月

富山県本部講習会

昨年に続き、雨・霙・雪・ときどき晴れの中、講習会が無事終わった。今回は行きは、高山本線を使ったが、飛騨古川を過ぎたら、完全に雪国に変化した。この季節にまだこんなに雪があるということは、1・2月はどのくらい積もるのか考えると恐ろしくなった。

さて、今回の講習会は、『ABACUS4』と『計算のきまり1.2』ということだが、乗法の交換法則は、『計算のきまり』ではじめて出てくるわけではない。したがって、『計算のきまり』は、今まで習ってきたことを、合理的にまとめた内容と言ってもいいだろう。

ところで、「計算の法則」について、昨年(NEWSポストセブン)で流れていた記事を紹介しよう。「人事担当者 6+5×3=33 と答える就活生続出で不安になる」

マイナビによる「12年卒企業新卒者状況調査」によると、企業の採用活動の印象は「昨年より厳しかった」、「昨年並に厳しかった」が80%を占め、その理由の実に半数が「学生の質が低下したから」という回答を寄せた。中でも著しいのが、企業が大卒に求めていた「基礎学力」の低下だという。「目立つのが誤字脱字。携帯やパソコンに慣れてしまっているせいか、漢字が書けない学生が多い。しかも、そうした誤字に気づかずメールを送ってくる。」

「四則計算もできないのは参りました。6+5×3というような簡単な計算でも、33と書く学生が多くて、“ウソだろう?”と我が目を疑いました(正解は21)。あまりにも多いから、自分の方が間違っているのかと不安になったくらいですよ」

学力はない、要領がいいように見えても突発的な事象には対応できない。そうなると、わざわざ大卒にこだわる必要があるかという疑問が浮かんでくる。(週刊ポスト2011年10月28日号)最近このような記事が多いことは、われわれも反省しなければならないと思う。暗算だけを強化しても、計算式や計算の順序を教えなければ、このような大学生が減ることはない。せっかく計算を教えるならば、計算のきまりのようなことを同時に教えてあげれば、暗算力は輝いてくると思う。

現実問題、SSKCLUBは既に実行しているわけだから、SSKCLUBで学んだ子どもたちの学力の向上は、可能だと思われるが、講習に参加して良かった!と思っても思うだけで、実行・継続しなければ何の意味もない。このことが問題である。

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本部講習会について

今期初めて開催する「大阪府本部講習会」の参加者名簿が届いた。新大阪駅前ということで、現在30名の参加者がいるらしく、初めてとしては凄い人数だ!

今回はプロジェクトのメンバーが9名と多く、このエネルギーには敬服するばかりである。また、大阪以外の10県からも先生方が参加するらしく、やはり新幹線(のぞみ停車)沿線は最強だと思う。

これで、東京・京都・大阪・岡山・広島・小倉と会場が東海道、山陽新幹線上で結ばれたことになる。また、高崎・宇都宮・仙台も新幹線上で結ばれている。

毎年、会員数が増える中、「地方開催」という考えは止めて、ドンドン都市に集まりましょう!我々は珠算指導のプロである以上、勉強して当たり前の世界であることは言うまでもない。勉強もしないで我流を通して、この世の中を渡っていけると思ったら大間違いである。

明日から富山県本部講習会へ出かけるが、今回は過去最高の参加者らしい。沢山の会員が集まれば、その分、情報量も必然的に多くなる。だんだん受講者の耳が肥えてきているので、講師もウカウカしていられなくなった。

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典型的な学習

3桁のかけ算やわり算の中で、十の位が「0」(空位の0)の誤答が多いことは既知の通りである。これはそろばんの構造上の問題なので、0は1~9までの数と比べて、特殊化された数と認識した方がよい。

例えば、444÷2→400÷2+40÷2+4÷2と、図を用いて分配法則を使えば、404÷2→400÷2+4÷2、440÷2→400÷2+40÷2と、比較的簡単に0の意味が分かる。意味が分かれば乗加位置や立商位置の誤りが減ることは言うまでもない。

「0をかけたら、指が右に動く」とか「あるか?ないか?」という指導で0の意味を教えても、それが算数と繋がっているとは言えない。算数は典型から特殊への統合ができるから素晴らしい学問なのである。珠算は、残念ながらそのプロセスが無いため、はじめから特殊という意味相の強い教育となってしまう。

この特殊から典型に一度戻さないと、学問的な裏付けは全くできなくなる。『テキスト』を眺めると、基本的な学習が多いことに気づくと思うが、これは、特殊化するには典型的なところを重視した方が早いということである。

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0の学習について

幼児でも「0」は「ゼロ」と読めるが、はたしてその意味をしっかり捉えているかは別問題である。算数教科書では、10の数を教えてから0を教える展開となっている。『KIDS4』では、10の前に0を教える。この順番をどう捉えるかは著者の判断による。

「0はひとつもない」という印で「ゼロ」と読むには、あまりにも不親切であろう。確かに「ひとつもない」というのは結論で、その過程には、「あったものがない」「あるはずのものがなくなった」と考えさせなければ納得できないと思う。

例えば、20、105などの数は、一の位、十の位の場所に、数がひとつも無くなった意味を表す。(束の原理)これを理解させるには、計数そろばんで「あったものが無くなる」ように操作させることである。これにより、0の意味はかなりイメージできるようになる。

仮に、0を操作しないで思い浮かべることができるなら、記数法で迷う児童数は、もっと少ないはずである。

「0」は4→3→2→1→0と「1こずつ減ることで認識できる数」で、3や2は、「見れば分かる数」であろう。また、10のように2桁の数は記数法が伴っているので、必ず事前に0の意味をしっかり定着させた方がよいと思う。

また、日常生活で計算上0になることは多々あるので、珠算でも答えが0になることは、基礎学習において重要である。この0の計算を含めないと、結果的には0が単独数で終わってしまい、せっかく意味を教えても無駄に終わる可能性が高い。「KIDS」や「ABACUS1」では、0の答えがでるように作問してあるので、これにより、かなり高い確率で0が認識できるようになる。

簡単な数や簡単な式を教える方が、実ははるかに難しいのである。この辺をしっかり認識していない指導者は、幼児・1学年を安易に教えてはならない。

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KIDS&ABACUS3 解説書

3月21日(水) 『KIDS&ドリル3 解説書』を発売します。今年の香川県(高松市)の全国大会で講話する内容なので、参加者は事前に購入し、予習をすることが大切です。

『ドリル解説書』は、これから『ABACUSレッスン9』まで順次発売する予定ですが、まだ使用していない先生は、是非一度講習に参加してほしいと思います。

計算の定着は、反復練習も大切ですが、ダイエットと同じで量と質が伴っていないと良い結果が現れません。『ドリル』の中で表現している問題は、深い数学的な意味が含まれていて、『テキスト』で作問されていない問題も多数あります。このため、『テキスト』では理解できなくても『ドリル』で完成された児童は多数存在します。

しっかりした定着が、次の『テキスト』に上手く繋がっていくわけですから、『テキスト』で誤答が増えるのは、その前段階の学習が不十分であるということを認識して指導しないと、いつの間にか「まよいの森」へ入り込んでしまいます。

『ドリル』もSSKCLUBの教材ということを理解して、トータルでバランスよく指導して下さい。

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問題解決学習

かけ算九九をいくら覚えても、それをどこで用いるかが分からなければ、かけ算をマスターしたとは言えない。また、『かけ算テキスト』ならばかけ算、『わり算テキスト』ならばわり算という固定した考えで判断するのもよくない。

『パズルテキスト1』でも、かけ算を使うところは沢山ある。九九に関しては、家庭でも母親が覚えさせることは可能だが、果たしてそれを使いこなせるか?は疑問である。九九は計算処理の為ではなく、あらゆる場面でも使えるようにしておかないと、問題は解決できない。(問題解決学習)

「二一が2」「二二が4」と覚えさせることに意味が無いとは言わないが、2×1=2 2×2=4と「乗数が1ずつ増えると積は2ずつ増える」という定義の大切さと、次にそれを用いる場面を作ってあげないと、かけ算の意味を理解することができない。

また、かけ算の便利さを理解させることも重要である。かけ算を習い始めの頃は、たし算(同数累加)と相互干渉を起こすので、しっかりとした意味づけで指導することは、更に大切となる。

そろばんは九九を覚えれば計算ができるという認識があるが、計算ができることと計算がわかることは同じではない。計算が分からなければ、問題を解決することは不可能ではないだろうか? 

まもなく新学期が始まるが、かけ算は慎重に指導するようにお願いします。

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珠算新聞

3月1日発行された「珠算新聞」(全珠連)に第58回全国珠算研究集会の上垣 渉(岐阜聖徳学園大学教授)先生の講演内容が掲載されたので紹介したい。

「算数教育で大切にしたいこと そろばんの活用に関連して」

① 絵・図を使うこと

小学校低学年では、数字だけではなかなか理解できないので、テープ図、線分図を用いて導入を図る。具体性を備えた絵から抽象的な絵へと導く。

小学2年生でかけ算が指導されるが、タイル図からかけわり図による説明が有効的である。中・高学年でもかけわり図や面積図による説明がより効果がある。

② 法則に着目すること

計算法則の活用が大切であり、偶数+偶数=偶数のみならず、中学では文字式も学習するので、交換法則を活用し、より速算を図る。量の法則性では、単位換算が大切。ここではそろばんの活用が有効である。(位取りを間違わない)

③ 論理的に説明すること

たし算の手前に合成と分解の説明が必要である。おつりの計算など、補数の理解が不可欠。この点は、そろばんは「補数を見つける道具」として有効であり、補数発見器とも言える。

乗算・除算の正逆関係や数の定義(偶数は2で割り切れる数・2の倍数)他。

最小公倍数・最大公約数はそろばんによる計算が最適。

そろばんの中学校への活用では、正負の数の計算規則にも有効である。

★ 結び

珠算教育には「計算の向上」・「集中力の育成」等多くの意義があるが、算数教育と手を携えて進むことが重要である。これを「算数的珠算教育」と呼ぶ。そのために、本日は算数教育で大切にすべき3つのことを紹介した。今後、「算数的珠算教育」という側面にも意を用いて頂ければ幸いである。

さて、この講演内容を読んで皆さんはどのような感想をもたれたか?

正直、上記の内容は、既にSSKCLUBが実践していることではないだろうか?

特に、「補数発見器」については、「計数そろばん」でなければ補数は発見できないが、補数の重要性については正しくその通りだと思う。

また、「論理的に説明すること」は、いつも講習会で講話しているSSKCLUBの真髄ではないだろうか?

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数量関係

計算とは数(整数・小数・分数)を認識した後に、たし算→わり算を形式的に処理して答えを求めることである。はじめは単独演算で計算を処理するが、その後、複合演算へと拡張される。

この時、「計算は順番に計算すればよい。」という概念を一度壊さなければならなくなる。つまり演算の意味を捉え、その関係を理解して再構成されなければならない。それが「計算法則」である。つまり、「数と計算」と「数量関係」がかみ合って初めて答えが求められる仕組みになっている。

このように算数は、「数と計算」+「数量関係」・「量と測定」+「数量関係」のように組み合わされた内容を多く含んでいるので、「数と計算」・「量と測定」のみでは、数学的な捉え方は生じないということになる。これが反復練習のようなドリルの欠点である。

このような関係は、電流(A)に電圧(V)をかけないと、電気(W)は流れないことと同じ原理で、「数量関係」はある意味、電圧のような役割になると思われる。

したがって、珠算と算数の線引きは、「数量関係」が伴っているかどうかであり、『計算のきまり』『割合』『かけ算2』『わり算2』『ドリル』は、「数量関係」の要素が強いテキストに分類される。

『算数テキスト』と言えども、役割が違うことを理解していないと、算数力はうまく習得させることができない。ましてやテキストを順番にきちんと使わなかったり、飛ばすようなことをすれば、生粋の「SSKCLUB」とは言えない。

ここをしっかり自覚して指導に励んで欲しい。

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岡山県本部講習会

昨日、岡山県本部講習会が無事終了した。今回の『計算のきまり1・2』は、『計算のきまり1』を3時間、『計算のきまり2』を1時間という配分で講話した。

『計算のきまり1』は、算数テキストの中では一番早く制作した『テキスト』だが、その理由は「ソロバンを習っても計算は速くなるが、計算法則が理解できるとは思っていなかった。」からである。もし、いまだに「計算が速くなれば算数がよくできるようになる。」と信じているならば、現代社会では非常に怖いことである。

2008年に出版された『世界主要国の価値観』でも証明されているように、昔から日本人は疑いもせず信じ込む(思い込みの強い)国民が90%もいるらしい。その90%から見れば、当然10%は「変人」と思われる。

したがって、一般的なそろばんの先生から見れば、SSKCLUBの会員は変人の集まりと思われているということだ。ただ、芸術家等は一流になるには変人でないとダメらしい。

『計算のきまり』の内容を話す前に、平成15年(ゆとり教育)「式と計算に関わる指導」の調査結果を話した。これは平成21年の全国大会でも話した内容だが、先日の『ブログ」でも書いたように、計算のきまりは、小学生~大学生でも誤答が多いことが明らかになっている。(大人でも誤答が多いと思われる。)

その点を考えると、いくら計算が速く処理できても、それは絶対的計算力とは言えない。計算力というのは、式もきちんと理解して書けなければいけないのである。社会に出たら「与えられた計算」より、むしろ「式を作る」ことの方が最優先される。

まずは、ここを理解することが、90%からの脱出かもしれない。また、計算のきまりは「数観念」の育成から始めることが重要であることは言うまでもない。

※ 計算のきまりに関するブログがあるので読んでください。

http://ameblo.jp/muroya-soroban/day-20120302.html

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計算のきまり

日曜日に開催される岡山県本部講習会は、『計算のきまり』オンリーのため、4時間同じ内容を話すことは正直非常に難しい。まだストーリーをしっかり頭の中へ入れてないが、これは新幹線の中でやろうと思っている。

原稿は「覚える」というより、知識を講話中に瞬時に引っ張り出せるかどうか?なので、大まかな確認程度しかしない。細かい原稿を書いて話すと内容が広がらないので、これも自分には無縁なのである。極端に言えば、全く考えていなくても、始まった瞬間に頭の回路が勝手に動き回るから大丈夫!ということだ。

このブログも書いている最中に閃くことが多々ある。結局、話すことも書くことも同じ要領だから、長く続けていられるのだと思う。長く継続するには、講話も記録も自分流のスタイルを築き上げてしまうことだ。

さて、今回『計算のきまり』の表紙が変更された。

ご覧のように今回の改訂に伴い、タイトルの「ザ」を取って、ナンバーを付けることにした。裏面のHPアドレスも「検索」に変更した。今後、算数系の『テキスト』は、全てこのスタイルに改定する。

いろいろと試行錯誤を繰り返しながら、やっとここまできたような気がする。

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かけ算の相互干渉

演算は、たし算→ひき算→かけ算→わり算の順番に学習する。たし算とひき算は可逆的(増加と求残)な関係があり、たし算とかけ算は、同数累加による拡張的な関係にある。

また、たし算とひき算は操作が逆になるのでイメージしやすい。ところが、たし算とかけ算は、1あたりの量が同じ時にかけ算を使うという、簡便算的な意味合いがあるので、この区別が実は非常に難しいのである。

例えば、12・24・36と12ずつ増える12の倍数は、たし算でも容易に求められる。むしろたし算の方がかけ算より計算しやすいかもしれない。

だから、かけ算を習い始めた時に、たし算とかけ算の相互干渉が起きる。つまり、初期の段階では、たし算とかけ算が衝突してしまうのである。これをクリアするには、正しい意味づけを指導するしかない。

大人の思考で物事を進めると、面倒なことは避けたくなるかもしれないが、算数はこの面倒な試行錯誤が重要で、思考力を増す鍵となる。

問題は指導者がこのことをしっかり認識しているかどうか?である。間違えて当たり前として捉えなければ、教育は存在しない!

はじめからできることなんて、何一つ無いのだから。

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★九九を丸暗記して唱えられる ≠ かけ算の意味を理解している

★「一あたりの量」と「いくつ分」の二次的な意味がしっかりできていない段階は、知覚数の圏外になると、誤答が増えるので注意すること。

「箱は見えているが、数は見えないから難しい!」

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