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2011年3月

思考力

多くの教育評論家は、「日本の環境が日に日に悪化する中で、子どもたちは自主性を失い、感受性を奪われ、自分で考えようとしなくなった。」と述べている。

子どもを取り巻く現状や実態について、彼らの意見は、驚くほど一致している。

同様に、他人のことは眼中に無く、身勝手な行動をとる大人は、ただ刹那的な快楽を求め、衝動的な行動に走る傾向がある。

よく、「やればできる」と言うが、これは、考える力が無いに等しい意見である。なぜならば、「やればできる」というのは、目の前にある「実行次元」だけ捉えていることに他ならないからだ。

例えば、合成分解でつまずいた場合の「できた・できなかった」に対し、算法のみ教えてOKとするならば、これは余りにも抽象的な指導である。

本来、できなかった問題は、子どもの様相が的確に捉えられるようになるまで、十分に細分化して指導する努力が必要である。

できなかった子どもに対し、ただ「考えてほしい」と言っても、子どもは「何を考えるのか?」が分からない。これはむしろ、子どもの気持ちを無視した言葉になる。

「思考力」には、生起にある長さに比例するだけの時間的な経過が必要であり、また、心理的な要因も大きい。つまり、この配慮が無ければ良い指導者にはなれないのである。

子どもの思考力向上を目指すのであれば、先ず講習を受講し、実践する中でテキストを使いこなす努力をすること。

この時間を作らないと、子どもの思考力は向上しない。

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メートルものがたり

大震災から1週間が経ち、被災地の先生方には辛い状況が続くと思われますが、くれぐれもお体を大切に頑張って欲しいと思います。

ただ、新学期が目の前に迫っていますし、会・塾の繁栄、児童の幸せのためにも、我々は仕事を継続していかなければなりません。

色々な事情はありますが、気持ちを切り替え、助けるもの・守るべきものがありますので、双方に手を差し伸べながら、講習会・テキストの開発は続けるように頑張るつもりです。

組織の一員として一緒に頑張って行きましょう。

さて、全国大会で講習をする『メートルものがたり(連続量の単位の換算)』(2学年)を、漸く書き上げることができました。

これから実際に子どもたちに学習させた上で、更なる実践研究を重ね、年内に発売する予定です。

5月の会報に同送しますので、ご期待下さい。

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東北関東大震災義援金のお願い

3月11日の大地震で被災された会員の先生方のために、現在SSKCLUBでは義援金を募っております。どうか、一人でも多くのご協力をお願いします。

1口1,000円(口数の制限はありません)を下記口座へ振り込んで頂きたいと思います。

振込先 三菱東京UFJ銀行 金沢中央支店

口座番号 普通3794397

振込先 池田美智子

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祈り

大地震から3日が経ちましたが、「ぱちぱち日記」でも掲載されているように、まだ連絡がとれない先生もいるので非常に心配です。今はただ無事を祈るだけです。

今後、会としても全力で支援していきたいと思います。

なお、安否の情報が入り次第事務局へ連絡して下さい。よろしくお願いします。

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正の数・負の数

日曜日に開催された「群馬県本部講習会」には、18名(会員外1名)が参加して無事終わった。

今回のテーマ『ABACUS11A・B』は、「正の数・負の数の加減乗除」がメインであることは言うまでもない。

普段何気なく「マイナス計算」として扱っているが、一般的な珠算塾では、負の数の計算方法は教えても意味は教えない。具体的に述べるなら、ただ「引けないから借りてきて、その補数を読ませる」程度で、マイナス計算の指導は終わってしまうのだ。

実際「マイナス計算」が日常生活に必要かどうかは疑問である。だが、負の数の意味を教えることにより、数直線の意味と基数と序数の意味が理解できるようになる。むしろこの方が、マイナス計算より重要であることは事実である。

このことに関しては、珠算指導者のみならず、世間一般の方々も納得できることだと思う。

さて、負の数の計算で一番難解なのは、「負の数のかけ算の意味」だと思われる。テキストでは、-2×3 2×(-3) -2×(-3)の計算を数直線を使って指導するが、指導者が曖昧な理解では、児童に上手く伝えられるわけがない。

-2×3は、(-2)+(-2)+(-2)と同数累加が使えるが、3×(-2)はそれができない。そこで数直線を使って、計算の統合を図っているわけである。

-2×3の(-2)は、順序数(-2のポジション)として捉えるのではなく、集合数の2として考えることが大切になる。それが3つ分あることから、数直線上を順行していくわけである。逆に2×(-3)は、6つ分逆行(バック)するということである。

数直線は、小数・分数の時、思考的教具として扱われたが、負の数でも同じように教具として活用することができる。テキストにあるように、計算の前に負の数の意味・性質を教えることは、整数・分数・小数同様に重要である。

全ての指導の場で、いつもそろばんを使わなくてはならない理由はどこにもない。むしろ、そろばんは思考力をUPさせる教具として考えることの方が、現代社会では大切なのである。

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九立商

「2桁のわり算」は算数でも難しいとされている。それは暗算力(2桁×1桁)を問われることと、もどし算・九立商が含まれるからである。

算数には、これが「もどし算」、これが「九立商」という定義づけはない。珠算は昔から形式的な指導法をするため、「2桁のわり算」→「もどし算」→「九立商」という数理的な関連性は無視して「定義中心」で学んでいく。だが、これでは『テキスト』のように「九立商」は「もどし算」という考えはできない。

昔、有名な大先輩に「もどし算」の指導法を聞いたところ、「もどし算は手品のように教える」と言われた。この発言には20代の自分でも「ドン引き」であった。じゃあ「もどし算」は「騙すことなのか?」と言われても仕方がないだろう。

『ABACUS7B P16』のような「2桁のわり算」→「もどし算」→「九立商」の関連づけた問題を解くことにより、「なぜもどすのか?」「なぜ9が立つのか?」を理解してくる。逆に言えば、135÷15は「10こ買えないから 1こ少ない9個になる」という論理的な考えができるようになる。「初めから9こ買えるからね」と言われても、児童は「10こ買った時、150円になるんだ」という考えができなければ、「先生が何を言っているのかさっぱり分からない」ということになる。

形式的に教えた方が「手間がかからない」と思うかもしれないが、誤答が増えて直す手間の方が遥かに問題であろう。

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荒凡夫的人生

珠算界に長くいると、他人のことが気になって仕方がない人が多い。

小林一茶の言葉に「荒凡夫」がある。これは「自由に生きている平凡な男」という意味であるが、自分のことを荒凡夫だと思えば、怖いものがなくなる。実際問題、他人と比較して卑屈になる指導者に、自律性を育てることはできない。

従来の珠算にありがちな「他人と比べて少しでも早く計算できるようにさせるのが、そろばんの有能な指導者である」という思い込みや、「経営学に長けているのが有能な珠算人である」という錯覚は、視野が浅い珠算人にとっては強烈な刷り込みで、「そうでないといけないのだ。」と焦り始める。

しかし問題の本質は此処にあらず。自分の能力が無いことを自覚していない教育音痴が一番悲しいわけである。

経済だって自律性を養うと35%の生産がUPすると言われている。上から押し付けられた仕事を、面白いと感じることは稀であろう。

教育だって、子どもの思考力を養うように育てれば、自然と自律性を意識するようになり、必然的に経営状況もUPするようになる。つまり、教育も生産性が上がるということだ。

その証拠にSSKCLUBにおいて「合成分解」や「もどし算」でつまずく児童はまずいない。『テキスト』がそのように作ってあるわけだから、解説から逸脱した指導をすれば逆に児童は混乱し始める。

SSKCLUBに入会した限り「志」をもって指導にあたる。「ぱちぱち日記」や「SSKCLUBとともに」のように、日々学び続ければ3年後に必ず花開く。

この信念があるだけで成功への道は近くなるのである。

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KIDSパズル解説&解答書発売

テキスト56冊+解説書44冊で、ジャスト100冊達成。

『解説&解答書』は、『テキスト』と比べたら、制作は簡単だが、解説書ができたお蔭で、自分も講習が楽になった。解説に書いてあることと、それに関連したものを付けて加工すれば良いわけだから、まず指導の的を外さなくなる。解説&解答書は、作って本当に良かったと改めて思う。

解説書を書いている時は、「完成したらしばらく休憩」と思っていたが、いざ完成すると、もう次のことが頭を過ぎってくる。今、事業計画の「メートル法」(2学年適用)を書いているが、これも解説書が完成したと同時にピッチが上がったので、今月中には完成するだろう。

教材を作っている時は時間を忘れられるほど集中できるので楽しいが、「生みの苦しみ」と上手く付き合わないと、これから大変だと思う。これももの作りにとっての宿命かなと思っている。

週末は「群馬県本部講習会」があるので、あまり疲れないように過ごしたい。

ところで、前回茨城の山中先生(全国珠算学校連盟 副会長)から8月21日(日)に、東京において講習会の講師の依頼があったので快く承諾した。これもテキスト同様に楽しみである。

仕事が楽しくできることは、生きていて一番の幸せなのかも知れない。

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