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2010年12月

熟達の教育

「珠算=計算」という概念は正しいが、それは最終目標である。

幼児には、その前に学ぶことが沢山ある。

1年生になって「計算ができない」というのは、実は「数が分からない」からであり、その原因すら分からなければ「外的な動機づけ」に依存し始める。だが、実はこれが負のスパイラルとなってしまい、児童はますます計算ができなくなり、計算の嫌い度はどんどん加速していく。

幼児期にいくら巧みに「アメとムチ」を使っても、それは一時的なものであり、かえって依存性が高まってしまう。この結果「覚えればOK」という、所謂短期的な思考を助長してしまうのである。

珠算は、本来長期的な学習を必要とされることから、指導者も短期的な報酬を期待しない方が良い。つまり、教育で100%の目標達成など有り得ないので、熟達できるような教育を目指した方が良いということだ。

リーマンショックも、住宅の購入者・ブローカー・トレーダー・政治家が、短期的な報酬だけに狙いを定めた結果である。

このような社会背景まで考えると、先生と生徒の双方が長期的に思考力を高めるという同じ動機づけをもっていないと、真の教育は成し遂げられないと思われる。

『パズル』も長期的に考えれば、創造性や数学力を高める学習となることは言うまでもない。

子供たちの目の輝きを曇らせないように、幼児期から本当に価値のあることだけに指導の焦点を絞り込む。これしかない。

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SSKCLUB会報28号

先日、『会報28号』の印刷・製本が終わり、今日袋詰をして、いよいよ30日に発送する運びとなった。

1月1日にSSKCLUB会員の先生方(250名)に届くので、よろしくお願いします。

それにしても仕事とは一体何だろう?

会報の原稿を書いて頂いた先生方や編集に携わった瀬川先生・島本先生のモチベーションがいかに高いかよく分かる。

この「やる気」を持続し、いかなる方法で引き出すかは、児童の学習と同じように「内発的な動機づけ」が重要だと思われる。

仕事は「しなくてはならないからする」ことで、遊びは「しなくてもいいのにする」と定義づけるならば、SSKCLUBは、どちらかと言えば後者のような感覚がある。

やはりこの意識がとても重要で、内発的な動機づけを高め、退屈な仕事でも興味深い仕事に変えてしまうわけであろう。内発的な動機づけがなければ、児童でも創造性を高めることは決してできない。

われわれ指導者もイヤイヤ仕事をしていると、芸術的な指導者には絶対になれないということである。

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滋賀県本部講習会

快晴の日曜日に、今年最後の滋賀県本部講習会が開催された。会員5名で参加者23名とは凄い参加率だと思う。

今回の『KIDS1~3』は、冒頭に数と量のことについて触れた。いつも話しているが、幼児は計算より数や量をしっかり認識させた方が、はるかに思考力がUPする。思考力がUPすれば、計算の意味や仕組みも同時にUPする。計算が分かるには、この意味が分からなければどうしょうもない。計算ができることとは次元が違うことである。

次の●の数はいくつだろうか?

●●●●●●●●●

正確な数を求められれば、大人でも念のため数えると思う。

幼児ならば必ず順番(左右)に数えると思う。

このように「1こ 2こ・・・」と数えられる数は、分離量または離散量と言う。

(5mのように数えられない量(測定)は連続量と言う。)

上の●9こ(かず)は、「9」という基数に「こ」という助数詞を合わせたものである。

一般的に「集合数」とは、実は「基数詞」のことである。

さらに、9の基数詞の真ん中の数は5であるが、これは左から5番目という数であるから「順序数」と言う。これも「何番目」という助数詞を使うことから「序数詞」という言い方もある。

この5番目の序数詞は、左右に4個ずつの量を含んでいることから、「可算量」という量に分類される。

指導者が何気なく、「何番目」と教えていても、そこには集合数を含んでいることを教えなければ、数の理解が半減してしまう。

珠算は「ねがいましては なん円なり」と、お金の計算ばかりしているが、貨幣も分離量であるから、りんごと変わらない量である。

幼児には、むしろ身近にあるものを合併させないと、たし算の意味がボケてしまう可能性がある。幼児から入学してくる児童に大切なのは、1年生に入学した時に算数ができることであろう。

今年も無事講習会が終わってよかった。

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発達と知覚数

一般的に「数の保存」を獲得するまでに、3つの段階を経由すると言われている。

第一段階は、数の保存が全くできない段階である。

これは見かけの長さ(幅)で答える幼児である。

 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ →「○の方が多い」

  ●●●●●●●  

第二段階は、保存はできないが、同値性は理解できるようになってくる。

年齢的には4・5歳頃である。

「6この○をとる」 ○○○○○○  

「7この●をとる」 ●●●●●●●

でも第一のように提示すると、やっぱり「○の方が多い」

第三段階になると、ようやく保存概念が獲得できるようになる。年齢的には6・7歳頃である。5歳でもしっかりと保存概念を獲得している幼児もいるが、これは潜在的に発達が早いからであろう。

このように考えると、一般的な発達の物差しを指導者が知らないと、発達より学習が先行して学習困難に陥る可能性が高くなる。

『KIDS』は幼児の発達に合わせて作ってあるので、学習をどんどん進めると、最終的には「数観念」が獲得できずに『ABACUS』に入ることになる。実は、これが一番最悪のパターンである。

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発達通り、年中児の知覚数は4こ、保存概念の獲得が難しい。今後の学習が楽しみになった!   

 

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石川県本部講習会

12月12日(日)石川県本部講習会が終わった。

今年は『分数1・3』の講習が愛媛・千葉・石川・愛知と4回あるが、回数を重ねるごとに内容がバージョンUPしていく。

今回は分数の意味を詳しく冒頭に説明した。そもそも分数とは「2つの数の比を用いた数の表現方法の一つである。」

つまり、1/3(3ぶんの1)は、全体の3(基数)と部分の1(基数)を比較したもので、1/3(3ぶんの1)の分数詞は無い。

整数のように「みかん 3個」のような数は基数と助数詞がくっついた数を「基数詞」という。また「3ばんめ」も、同様に序数と助数詞がくっついた数であり、これを「序数詞」という。

このように考えると、1/3(3ぶんの1)の分割分数と1/3m(3ぶんの1メートル)は、全くことなるものであることが分かる。

分数はこの他に、可約(既約分数)と分数の簡約(約分)や、同値分数と通分の関係が非常に難しい。

その反面、分数の四則計算は、「分数の意味」を理解すれば、機能的には整数より簡単であるということになる。

したがって、分数を指導する時は、「部分と全体」との関連性を意識して指導することが非常に大切となる。

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発達の考慮

一般的な見解において、年中児と年長児・年長児と1年生の発達の差は非常に大きい。

発達の差が大きいのであれば、発達段階に合わせて教材を変えたり、レディネスを考えたりするのが当たり前である。

低学年化が進んだ現在、従来の珠算の指導形態で、表計算能力のような左脳教育の分野は、社会的にも淘汰されつつある。この現象は、ホワイトカラーの失業にまで繋がっている。

SSKCLUBが目指しているのは、左脳教育より、むしろ数学性・創造性・共感性などの全体を見通す能力の向上である。

つまり、珠算を習って「計算が速く正しくできる」という機能だけではなく、計算における仕組みなどの「意味」を持たせることが重要であり、それが右脳の発達にも繋がっていくのである。

「分類」と「珠算」 この異なった2点を結ぶことにより、新しい「調和」が生まれる。

幼児には幼児専用教材が必要不可欠である。

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今教えている児童が10年~20年後に、世の中で役に立つことを考えて教えているかが大切である。これは社会人・教育者として当たり前のことではないだろうか?

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会報28号 原稿完成

来年の1月に発行予定の『会報28号』の原稿が完成した。

中島先生から瀬川先生にバトンタッチして、早いものであっという間に1年が過ぎた。

会報は毎回バージョンUPしているが、今回の表紙は凄いインパクトのあるものになっている。ブログで全部見せたいが、楽しみが減るので少しだけご披露します。

会報の内容は、新年の挨拶・金城幼稚園の公開授業・講習会のレポートが主な内容であるが、特に講習会のレポートは凄い文章が勢揃いである。みんな本当に成長したと思う。

とかく文章を書くことを嫌う傾向が強い世の中で、SSKCLUBの先生のレポートは向学心がある故にどれも素晴らしい出来栄えである。きっと、ただ従来通りのソロバンを教えているだけの先生より、意欲もエネルギーもあるため、今後の人生においても遥かに好影響を及ぼすと思う。

会報の制作といい、レポートといい、SSKCLUBにはこれから益々発展していく要素が沢山あることを確信した思いで感無量である。

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KIDS5解説&解答書

12月3日(金)『KIDS5解説&解答書』を発売する。

『解説&解答書』も、あと『KIDSスペシャル』『KIDSパズル』『かけ算2』『わり算2』の4冊となった。

今日から『KIDSスペシャル』の制作に取り掛かったが、『KIDSスペシャル』の後は『わり算2』へ進む予定である。

『KIDS5』は、『KIDS4』を拡張した内容で構成されている。KIDS5は、ただ単に数が大きくなるということだけであるが、幼児にとっては簡単なことではないのである。

あえて説明するなら、幼児にとって簡単と思えることは「数唱」ぐらいで、「命数法」「記数法」「量感」の三次元的な学習が伴うパーツにおいては特に難しい。

P10以降は、算数理論と発達心理を含めた解説をたくさん記載したので熟読して頂きたい。特に、講習会では話さなかった「新しい指導法」も記載したので、隅々まで注意深く読んで欲しい。

講習会は、『解説&解答書』を中心に展開して話しているが、学習は「予習」が大変重要である。したがって、テーマとなるテキストの解説&解答書は、事前に準備して勉強した方が頭の中に理論が具体的に入ると思われるので、これから講習会を控えている会員は是非実践してもらいたい。

それにしても『KIDS』は奥が深い!と、書いている自分で感心してしまうほど幼児教育は重要である。

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