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2010年8月

九九の活用

九九(一桁のかけ算)を早くから覚えさせることは、果たして大切なことなのだろうか?

例えば、たし算も上手く計算できない児童に、「二一が 2」、「二二が 4」・・・リズムをつけて覚えさせる。この覚えた九九を使って、2×4の問題を速く解かせることを目標に、日々トレーニングに励む。

九九が速く答えられるならば、「2桁以上のかけ算の問題もスラスラできるか?」といえば、そうとは限らない。

さらに文章問題や「2×3+2=2×4」といった、かけ算の定義はもっと疑問である。

なぜならば、本来のかけ算の定義は2×3=2+2+2・2×4=2+2+2+2の同数累加の理解が根底にあるから、これを決して無視してはいけない。

九九を覚えたならば、九九が活用できないと、覚えた意味が半減してしまう。『かけ算テキスト』は、ただ九九をマスターするだけが目標ではない。つまり、2桁のかけ算やわり算を学習した時、その九九を使って、計算が系統的に処理できなければダメだということである。

絵を見て、これがかけ算の式に転化できなければ、文章題など解けるわけがない。

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以上のことから、加減算が未定着な時期に、かけ算九九を先行して教えるのは、危険極まりない行為といえる。

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九九とかけ算

一般的に九九は、1~9までの自然数同士のかけ算を語呂よく暗記する方法であると定義されている。

珠算のかけ算は「速く、正しく計算ができる」ことを狙っていることから、九九も同様に正しい暗記が求められる。

ただ、この九九を使ってかけ算の計算をする場合、珠算はそろばんの構造上「乗加法則」を理解しないと、正しく機能しなくなる。つまり、せっかく覚えた九九も台無しになるということだ。

2×1(二一 が 2) 2×2(二二 が 4) ・・・などのように、「が」がつく九九は「ひとつ とんで 右に 答えを立てる。」となるが、実際には「が」は十の位が空であることを理解させた方が、乗加位置に狂いが生じなくなるのである。

特に35×2のような問題は昔から誤答が多いが、九九と乗加法則の関係を理解させれば、低学年でも無理無くできるようになる。反面、乗加法則をお座成りにすれば「わり算」の立商位置も同様の現象に陥るのである。

指導者にこの乗加法則の認識があれば「かけ算で同じ躓きを繰り返す無駄な反復学習」は、全く行う必要が無くなるのだ。

学習は量ではなく質である!!この違いが色濃く表れているのが「かけざん」である。

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会報27号

本日『会報27号』が完成した。

今回は「全国大会」を中心に前回同様40ページとなったが、このボリュームは何度手にしても圧巻である。会員の皆さんのもとには今週中に届くと思うので、余す事無くしっかりと読んで頂きたい。

さらに今回同封される「会員名簿」は、新たに新規加入の県も追記されたことにより、『全国的に広がるSSKCLUB』が直に実感できる仕上がりとなった。

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束の間の夏休みも終わりを告げ、通常の仕事モードに戻った一日であった。

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分数3(2)

本日『分数3』(第56作目)が発売された。

最近、テキストは年に1作の割合で開発している。

昔に比べれば開発の冊数はペースダウンしているが、これは教材の完成度に比例しているといえよう。更に、テキスト以外の仕事が結構増えていることも挙げられる。

『分数』シリーズは今回で一段落となる。

今後は6学年用テキストの開発を目指したいが、とりあえず残りの『解説&解答書』8作を完成することが最優先である。

全国大会から1ヶ月、あと11ヶ月間で何が出来るかが大切であろう。

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割合を考える

昨日、竹原珠算学校において長野県スペシャル講習会 テーマ『小数2』『割合』が開催された。思い返せば今年2月と4月にも行ったので、平成22年になって3回目の開催となる。

割合は、整数倍→小数倍(百分率・歩合)の流れから『小数2』の文章問題化された内容ともいえるが、割合の本筋は「比較」である。

言い換えれば「もとにする量」と「くらべる量」の2つの量を比較して、それが「何倍にあたるのか」を求めることである。(割合→比へ拡張される)この点を指導者が理解していないと、曲がった指導に陥る恐れがある。

一般的にそろばんが上手くなると、全て小数計算に依存する傾向があるが、割合は小数から分数(割合分数)へと発展していくため、「割合」の理解は「分数・小数」の一体的理解となる。

算数の単元は、高学年になるほど色々な要素を含んで構成されている。したがって、低学年からの「基礎知識」を重要視しないと危険である。

幼児・低学年から「計算オンリー」で算数を教えると、知識より技術が先行してしまい、高学年になると「算数ができないからソロバンをやめます。」ということになりかねない。

教育は「先の先まで考えて教える」これに尽きると思う。

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11年目の歩み

次回『会報27号』と一緒に『10年のあゆみ』(年表)を発行する。会報は今期から中島先生から瀬川先生に代わり「全国大会」を中心に内容の濃いものに仕上がった。

また、年表は池田美智子先生が、10年間個人的に資料を保存していたお陰で、10年の歴史が一目瞭然で分かるものに仕上がった。

「継続は力なり」と思うようになったのは、つい最近である。それまでは「がむしゃらに走った。」というのが正直な気持ちである。

今があるのは、過去があるからであり、今を語るのは、未来があるからである。

日曜日は長野県スペシャル講習会があるが、今回はかなり遠方から参加される先生がいるらしいので、是非とも「参加してよかった。」という内容にしたい。

今更、心臓がドキドキはしないが、どんな講習会であろうと緊張感が無くなったらダメだと思っている。よく「芸人魂」という言葉を耳にするが、きっと自分も同じ魂が宿っていると思う。

「10年は通過点」 

11年目の講習会は暑い8月からスタート!

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非自由な教育

今年で4回目となる「全国学力テスト」の結果が出た。もう既に新聞などで内容の分析は掲載されているから、その点についてはとやかく言うつもりはない。

ただ、あれだけ「教育改革」と政治家が吼えたにも関わらず、学力が向上しないのは、やはり「学習指導法」に根本的な問題があるような気がしてならない。一体いつになったら改善するのだろうか?

「YouTube」に20年前のトーク番組(田原総一郎、石原慎太郎、小田実など)に「経済・教育・軍事問題」をテーマにしたバトルが流れているが、20年後の今、その討論が全く違和感無く感じられるのは、政治が止まっている証拠であると思われる。したがって、これから先もこの3つのテーマについては、改善・改革は無いと思われる。

そうなると、珠算教育の改革も無いということになる。

つまり、政治に合わせていれば、珠算の指導法に新しいものを入れることもできないし、自由は認められないことになる。

「自由に研究や教材開発をすることが悪い。」という発想の方が、実は一番危険だと思う。

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