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2010年6月

かけ算について考える

『ドリル4』に写真の問題がある。1,2年生の児童には難しいが、同数累加→かけ算の意味を理解していればすんなり通過できる。

□+□+□+□=20は、□×4=20と展開するが、この問題が解けない児童は、かけ算そのものの意味が分からないのである。

中には□+□=12 → 4+8という加法を用いた誤答の児童もいる。この児童は同数累加=かけ算という関係演算が、独立演算になってしまっているわけである。

このような児童に、□×4=20と促しても全く意味が分からない。

そこで、そろばんを使って1+1+1+1=4 → 2+2+2+2=8 → 3+3+3+3=12 と類推していくと、4ずつ増えることが見えてくる。

つまり、わり算の等分除が包含除に統合されるようになり、4×□=20と逆展開できるわけである。

児童は既習の知識を使うことに抵抗はないが、それを基に新たな解答を導くことには抵抗がある。これは低学年ほど顕著に現れるので、指導者はその点を配慮して指導すべきである。

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全国大会準備

昨日は「愛知学習会」で、全国大会の最終準備が行われた。

今回は特に「10周年」という記念大会であることも含め、色々大変な面もあったと思われるが、国重先生をはじめ愛知の先生方の協力もあって何とか開催を迎えられる事となった。心からお礼申し上げます。

今年の愛知のユニホームはオレンジのポロシャツで決めました。背中に「アバカス君」がプリントしてあるのでかなり目立ちます。

また、今回の全国大会では、1日目の『KIDS』の講義内容を収めたDVD(2枚組)を販売します。

さらに吉見出版から「SSKCLUBのぼり」が販売されます。当日は通常価格840円が700円となります。

テキスト関係も5,000円以上注文した場合、送料が無料となります。

10周年の記念大会で、たくさんの特典がありますので参加者の皆さんはご期待下さい。

なお、当日の講義には『分数3』(5月会報配布)と『KIDS解説&解答書4冊』(吉見販売)が必要となりますのでよろしくお願いします。

あと10日、体調を整えて参加して下さい。

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茨城県スペシャル学習会

6月20日(日)、つくば市で茨城県スペシャル学習会が開催された。

毎度の講習会だが、受講者(写真)が真剣に聞いてくれれば、話し手は自然に力が入る。「別に怒っているわけではない」ということを触れておかないと、受講者は「叱られている」ような錯覚に陥るのが、私の講義の特徴だ。

今回は、『KIDS1』『分類』に入る前に「数概念」と「数観念」と『計算の関連性』を1時間話した。珠算教育は、もともと「計算」が主体であるため、計算の基になる「数概念」と「数観念」を無視されていた傾向がある。幼児期は特に、計算より数概念を見極めた上で数観念を理解させることが、最重要課題である。

つまり、幼児に珠算(算数)を教えるということは、極端な言い方をすれば数観念だけに拘れば計算は自ずとできるようになる。

『KIDSテキスト』を週に1時間程度学習すれば、1年生の算数は確実にできるようになる。算数が分かるということは、珠算も必ずできるようになる。

ただ「分類と計数」「対応と計数」のように、概念と観念が複雑に絡んだ問題もあるので、『指導者の質の高さ』が幼児の理解に直結することは言うまでもない。

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50名近くの先生方の前で話すことは、正直言って爽快である。

同じ幼児教育、全国大会ではさらに深く掘り下げた内容を話す予定である。

皆さんご期待アレ!

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分数の多少判断

整数・小数と分数の違いはなんだろうか?

3m・1.5m・1/4mと長さについては同等に表すことができる。ただ、1/4mという長さは直観的に量感がつかめないので、0.25m(25cm)というように小数に還元することが多い。

また、整数は3・7・12・100のように小さい順(大きい順)に並べることは簡単であるが小数の場合0.3・1.5・1.34の1.34は、小数の桁数が多いので「数が大きい」と誤認識してしまう場合がある。

では、分数ではどうだろうか?

1/10 ・5/10・9/10のように単位分数(1/10)が同じであれば、整数・小数と同じ捉え方ができる。

しかし、1/4・3/4・1/5・3/5(分数テキスト改訂版P2)のような問題になると、数字では判断ができなくなる。

つまり、分数は整数(小数)と違って、数字から直観できない数となる。そこで、分数を作る(操作)ことによりイメージできるようになる。

とかく分数を習い始めた児童は、整数感覚で分数を捉える傾向が強いので、分数のイメージ作りは大切である。

このイメージが、やがては同値分数→通分→約分へと繋がっていくのである。

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発達心理とテキスト

ピアジェの発達心理学(波多野完治1972年発行第8版)は、児童の発達段階を、感覚運動期・前操作期・具体的操作期・形式的操作期の4段階に区別し、それらの特徴を、自分の子どもの観察から明確にしたことはよく知られている話である。

もっと細かく述べるなら、具体的操作期は、7・8歳の第1段階と9・10歳の第2段階に分類されている。この2・3歳の発達の違いは、珠算指導においても無視しては通れないものである。

さらに、9・10歳の児童においては「二次元の関係を自分の考えで論理的に説明し、正しく推論すること」ができる。

例えば「定位法」の指導の場合、「小数」と「定位法」を上手く関連づけながら定着できるが、7・8歳の児童は「小数」の意味が構造的に理解できないため、定位法は「覚えて指を動かせばよい」という記憶のみの学習に陥る可能性が高い。

小数と定位法は本来独立変数である。それなのに、小数の意味を教えてもらっていないにも関わらず、小数計算を指導される。小数が分かっている9・10歳児童さえ理解に苦しむ定位法が、果たして7・8歳の児童に理解できるのだろうか?

『小数テキスト』で小数を学び『10Aテキスト』で0.2×4の簡単な問題(同数累加→かけ算)から導入すれば7・8歳の児童でも「二次的な関連性」が分かり始めてくる。

そろばんという「教具性の強い」道具を操作させることは、発達心理においても優れた学習であるといえるだろう。

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順序位置数

日曜日に開催された「宮城県本部講習会」のテーマは『KIDS4・5』であったが、新しい会員が多いので、『KIDS3』までの重要な点をピックアップして冒頭に話をした。

端的に言うならば、幼児や1年生が計算ができない理由は「数が分からない」これだけである。

数には集合数と順序数があるが、珠算は基本的に順序数は教えない。順序数は時計の場合、「時刻」にあたり、集合数は「時間」を表すことと等しい。時計が読めない児童が多いのは、基本的な意味の欠如からくることが多いと思われる。

さらに順序数は、数直線になり、小数・分数の大きさを捉えることに役立つ教具となる。最後に唱えた数が集合数を表すが、その間にある数は「順序位置数」となり、遇数・奇数や座標に関係していく。

SSKCLUBのKIDSは、珠算の入口であると同時に『算数の知識を高める教育』である。幼児期は特に、計算より数を理解させることに力を注いだ方が計算が分かるようになる。

たとえば、5の真ん中の「3」を見つけさせ、前後に2人ずつ並んでいることから、3の位置数の前後に集合数が存在していることを見つけさせる。この次に「6」→「7」と系列的に学習すると、偶数、奇数の意味と真ん中の順序位置数がさらに理解できるようになる。

このように深い学習を続ければ、既習知識と未習知識が同化され、児童自ら調節するようになる。指導者にこの高い意識があるか否か?果たして貴方はどちらですか?

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深い指導とは

珠算人に「合成分解」と問えば「5と10」を思い浮かべると思うが、算数教科の中では、6も7も合成分解として扱われる。

珠算の合成分解は「5を入れて2をはらう」「5をはらって1を入れる」「3をはらって10を入れる」「10をはらって6を入れる」など言葉を覚えて計算させるが、この言葉を覚えたからといって「数の保存概念」や「数観念」が獲得できるものではない。

むしろ「関係がない」といってよいだろう。

「パズル」を使って、1と6 2と5 3と4というように系列を書いていくと、1+6=6+1・2+5=5+2・3+4=4+3の交換法則の原理が理解できるようになる。(珠算ノートの活用例)

さらにこの学習を続けると、児童自ら「7の数は3通りの組み合わせがあること」に気づくようになる。さらに、これを基に「8は何通りだろうか?」「10は何通りだろうか?」という推理も働いてくるようになる。

この推理こそが本来の「数学的な考え」なのである。計数を学習させることも大切であるが、一回一回立ち止まりながら考えさせ、教えることで指導に深みが増してくる。

教えることは何時も「こうしなさい。あーしなさい。」と一方的に伝えることではない。

珠算指導において、児童に「どうだろうか?」などと問い掛けることはナンセンスかも知れないが、実はこのナンセンスが、算数では必要不可欠な指導であることを知っておくべきであろう。

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