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計算の見積もり

文部科学省の平成13年度の「小中学校教育課程実施状況調査報告書」の《見積もりに関する問題》において、6年生に対して「304.15×18.73の答えに近いものが、次の①~④までの中に1つあります。正しいものを選ぶためのおよその計算を□の中に書きましょう。」がある。

その結果は、次の通りである。

① 570  ② 5700  ③ 57000  ④ 570000

・およその計算(式)の正答率は、44.4%

・解答の正答率は ① 3.8%  ② 66.6%  ③ 8.7% ④ 11.9%

※ およその計算(式)の誤答は、およその計算をするのではなく、与えられた数値のまま計算しているものが約30%いた。

誤答分析について、青山学院大学 長嶋 清教授が次のようなコメントを述べている。

【原因や理由は何なのかというと、1つ目は、「計算に慣れている」が挙げられる。2つ目は、子どもは計算する必要性を感じても、見積もりの必要性は感じていない。これは、計算技能に長けているためである。3つ目は、日頃の算数指導において、見積もりの意義を重視した指導がなされていないためである。】

このコメントは珠算教育に携わる者には耳の痛い内容である。

確かに「計算のきまり」で習う、分配法則や結合法則は計算力があれば必要ないかもしれないが、数学では全く通用しなくなることは明らかである。

また、12.5×4の問題は、125×4÷10であるが、「12×4=48・13×4=52から、12.5×4の積は、この間にある」という見通しも重要である。このような小数計算を見積もる能力は、実は計算力より数の認識力が関っていることを理解して欲しい。

極端な話、「数の認識がしっかり定着していれば、筆算も暗算も珠算もなんとかなるものである。」 計算は形式的なものなので根本的に考えを改めない限り、珠算=数学力にはならない。

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