感受性
珠算は「そろばんを使って計算する」ことが前提であるから、技術にあたる。「暗算は頭の中で計算する」と言っても、やはり技術に相違ない。
技術とは「対象を知り、それを利用することが目的である。」つまり、プロセスを意識したり、その構造を説明することは、あまり必要がないということである。
仮に『そろばん』が「速く正しく計算することだけが目的」ならば、珠算は「計算する技術」だけに分類される。技術であれば、「ごちゃごちゃした理屈はいらない!」ということになる。
ところが『数学や科学』は「目標のために対象を利用したり、その結果に注目したりすることだけに留まらず、プロセスを意識して説明すること」を重要視している。
つまり、『技術』は「実用的思考でできること」を目的にしているのに対し『数学や科学』は「概念的思考によりわかること」を目的としている。
珠算の歴史は「行動心理学」の流れを汲んでいるので『わかる』と『できる』の大きな違いを同一視し「できるということは、わかる」という意識を古くからもっている。
したがって、合成分解やもどし算や定位法等が『できる』ようになれば、指導者も『わかった・理解している』と判断してしまい【珠算は算数に役立っている】と錯覚してしまうわけである。
これが、珠算=算数にならない理由である。
とくに低学年ほど発達上「できる」と「わかる」という矛盾に気づかないので、「できるのに本質がわからない」という児童が、実はたくさんいるという現実を指導者が知らないのが怖いのである。
ところが「わかる」ように教えていくと、この矛盾に反応する児童が出てくる。これがいわゆる「感受性」である。
指導者も感受性が強くなければ「わかる」ように教えられないことになる。
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