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2009年7月

講習会の始まり

今日も朝から蝉の鳴き声が盛んだが、空はどんより霧雨が降っている。「名古屋の夏は暑い」と言われるが今年の夏は妙だ!

日曜日から今期最初の講習会が高山で開催され、いよいよ講習会が開幕する。これから来年の5月まで20本の講習会が控えているので、体調だけは崩さないように心がけたいものである。

さて、今朝の『日本経済新聞』に「塾の入学者が4割減」という記事が掲載された。一昨日の「競技大会廃止」のニュースといい、不況に強い教育産業も今度の不況ばかりは深刻なようである。

昭和40年代の「オイルショック」は、珠算界には全く無風であったが、世の中が求めているものを提供しないと、固定概念は通用しない時代になったことは確かである。

これからの時代は異才人が必要となり、職業も従来のパターンから脱却しないと生き残れないような気がする。珠算人も思い切って非常識的な発想をした方が成功率は高いと思われるので、一度真剣に考えたらどうだろうか?

ただ、長年培った指導法が身に付いてしまっているので、これを取り除くことが実は一番難しいと思われる。この呪縛的指導は、まず講習会に参加することによって少しずつ取り除かれていくので、是非ともSSKCLUBの講習会に参加して欲しいと思う。

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方向転換

朝、愛知県のO先生から次のメールを頂いた。

そろばん甲子園:今年限りで廃止…競技人口の減少止まらず

 兵庫県小野市は28日、全国の高校生がそろばん競技を競う「全国高校珠算競技大会」(通称・そろばん甲子園)を、今年の第55回大会を最後に廃止すると発表した。競技人口の減少が止まらず、「今後参加者が集まりにくくなることは明らか」と判断した。

 大会は1955年にスタート。阪神大震災のあった95年を除いて毎年開かれ、ピーク時の80年代後半~90年代前半には約90校から600人前後が参加した。しかし、その後は電卓の普及や商業高校の統廃合などで参加者が減少し、昨年は56校288人まで落ち込んでいた。

 今年の大会は8月19日に小野市の市総合体育館で開かれ、59校300人が参加する。蓬莱務市長は「そろばんを普及させたいというわれわれの理想と現実とにギャップが生じた。もう行政が主催する時代ではない」と話している。

この内容については、私が再三話していることであるが、これからそろばんを普及させるには、従来の珠算の概念を崩さない限り、発展はあり得ないことだと思う。

自分の仕事には自信や誇りを持っていなければダメであるが、評価は他人がするものである。特に児童の評価は一番であると思う。

これから政治も経済も大きく変革しないと危ない時代である。「そろばん人気がじわり復活」と「競技大会廃止」という二つのニュースが、これからの方向性をはっきり物語っているような気がする。その点をよく考えて改革を進めるべきではないだろうか。

SSKCLUBの教育理念は、間違いなかったと思うこの頃である。

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算数とそろばんの不融合

数学者の内木場 啓(うちこば さとる)氏が「数学教育で取り扱う事柄で、易しいものに置き換えられないのは多くの場合教師の思想や技術がそこまで高まっていないからではないだろうか。また、うっかりすると逆に教師はもともと易しいものを必要以上に難しいものにしていないか。」と述べている。

数学では、定義しないで誰でも判ることを「無定義」と言うが、珠算の4+1=5は、当たり前のように5に決まっている(無定義)。それにも関わらず珠算は、あえて「5を入れて4をはらう」という定義(運珠法)を使う。これがかえって珠算を難しくしているような気がする。

そこで、内木場氏がダメ教師のパターンを紹介しているので参考にしてほしい。

① やさしく説明するために、かえって不適切な例(その場限り成り立つ特殊な例等)を不用意にもってくる。その場で子どもは理解しても、その応用・発展の場ですぐつまずく。さらに、その後の生徒の学習を混乱させてしまう。

※『テキスト』と他の教材を混ぜたり、自己流の教え方でテキストを使う。

② はじめから難しいものだと子どもに教え込み、丸暗記するように努力させる。

※かけ算の意味や仕組みを教えず、いきなりかけざん九九を丸暗記させる。

③ 子どもの思考に対する受容性を考慮しないで、色々なパターンをいっぺんに説明し、頭の中を混乱させてしまう。

※「思考に対する受容性を考慮しない」ということは、発達や学習心理を無視して指導することである。具体例として、幼児に数を教えるとき、数の意味仕組みから教えないで計算だけをどんどんさせたり、小数そのものを教えずいきなり定位法をいっぺんに教えて、かけ算とわり算に学習障害が起きることである。

④ 無秩序な方法で学習を強制させ、子どもを動きのとれない状態に追い込んでしまう。

※ 競技などで過剰学習をさせる。練習曲線の上昇から学習意欲の低下が起きる。

この4パターンから、そろばん熱血先生ほど、算数とそろばんの融合は難しいと思われる。

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感受性

珠算は「そろばんを使って計算する」ことが前提であるから、技術にあたる。「暗算は頭の中で計算する」と言っても、やはり技術に相違ない。

技術とは「対象を知り、それを利用することが目的である。」つまり、プロセスを意識したり、その構造を説明することは、あまり必要がないということである。

仮に『そろばん』が「速く正しく計算することだけが目的」ならば、珠算は「計算する技術」だけに分類される。技術であれば、「ごちゃごちゃした理屈はいらない!」ということになる。

ところが『数学や科学』は「目標のために対象を利用したり、その結果に注目したりすることだけに留まらず、プロセスを意識して説明すること」を重要視している。

つまり、『技術』は「実用的思考でできること」を目的にしているのに対し『数学や科学』は「概念的思考によりわかること」を目的としている。

珠算の歴史は「行動心理学」の流れを汲んでいるので『わかる』と『できる』の大きな違いを同一視し「できるということは、わかる」という意識を古くからもっている。

したがって、合成分解やもどし算や定位法等が『できる』ようになれば、指導者も『わかった・理解している』と判断してしまい【珠算は算数に役立っている】と錯覚してしまうわけである。

これが、珠算=算数にならない理由である。

とくに低学年ほど発達上「できる」と「わかる」という矛盾に気づかないので、「できるのに本質がわからない」という児童が、実はたくさんいるという現実を指導者が知らないのが怖いのである。

ところが「わかる」ように教えていくと、この矛盾に反応する児童が出てくる。これがいわゆる「感受性」である。

指導者も感受性が強くなければ「わかる」ように教えられないことになる。

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教育感覚

SSKCLUBにはテキストの解説書やマニュアルがあるが、これは一般的な概論にすぎない。

例えば、「5の合成分解」にしても2+3=5の加法の流れから、「2をはらって 5をいれる」方が自然で、1年生はこの算法の方が分かりやすい。

さらにテキストは、11+44から22+44、13+24、43+41、34+42へと少しずつ難しく作問してあるので、つながりが自然に分かるようになっている。しかし、児童の能力は一人ひとり違うから、中には問題の構成が理解できない者もいる。そこで、理解不足の児童に対して先生の能力が必要となるわけである。

指導者は、児童の解答に○×をつけることが仕事ではない。いかに間違いを減らせるか?または問題と問題の関連性を分かり易く説明できるか?である。

長い説明が○ではない。短い説明でもOKである。

これは長いキャリアより、「教育感覚」があるかどうかの方が大切である。分かりやすく言えば、すばやく子どもの能力を見抜いたり、合成分解の問題の難易度を発見できることである。

授業中は明るく元気よく教えていても、心の中では厳しい分析をしていないと、児童の学習は待ってはくれない。

この文章を読んだら、意識を持って授業を進めてもらいたい。

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割合

全国大会前から書き始めた『割合 解説&解答書』がP13まで終わった。割合は、児童には大変難しい内容であることはいうまでもないが、平成13年度の「教育課程実施状況調査」で『割合』の通過率が「4分の1にも満たない」という結果が報じられている。この結果を考えると、割合の内容と児童の能力が上手く合致していない点があるのではないかと思われる。

割合と言えば、「2,000円の品物を30%引きで売ると何円になるか」というような問題が一般的であるが、「定価が同じならば、値引歩合が2倍、3倍になれば値引額も2倍、3倍になる。」といった関数的な考えが、実は一番の基本となる。

30%が0.3倍であり、30%を0.3にかえればよいと判断できることや、0.3倍が3倍の10分の1であることや、0.3倍をかけた600円を2,000円から引くことを捉える能力は、既習の関係が大きく影響している。

答えをたしかめたり、多様な解決の仕方が当たり前(習慣)のようにできる児童の方が、さらに「割合がよくわかる」ということになる。珠算の割合は、どちらかといえば「パターン学習」であるから、公式通りに式を書いて計算をすればできるが、これで算数の割合ができるようになるとは思えない。

SSKCLUBで培った数学力は、やはり割合でも最高のアイテムになることは間違いないということである。

『Lesson4』から始まるかけ算を「割合」として捉える。これが最初のポイントである。

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TVで紹介

今朝 ズームインスーパー(日本テレビ)の6時前のグッドニース(新聞記事)で、葛原先生の記事が紹介された。

http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200907160086a.nwc

また、全珠連の秋田県支部から下記のメールが届きました。

「貴クラブの取り組みを、新聞で、拝見致しました。
珠算人口の減少に悩む本県の珠算指導者にとりましても、大変に心強い取り組みと感じ、当事務局でも会員に紹介したいと言う意見があります。」

新聞記事が東北地方に流れた影響で、連日問い合わせが続いている。

SSKCLUBは、「指導者を育成する」ことを目的にしているので、このような悩みは簡単に解決できることである。問題は「やる気があるか または続けられるか」である。

SSKCLUBで活躍している先生方は、講習会も真面目に受けているので、それが積み重なって、花が咲くようになるのである。誰でもはじめは素人である。

長いこと珠算界にいるとマンネリ化が起きる。それを打破するには、学ぶ場所がどうしても必要となる。珠算をSSKCLUB的に考えれば、「千万無量の教育」となる。

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助数詞

幼児は、大根を1本、2本、3本とか、紙を1枚、2枚、3枚と上手く数えられない。たいてい「1こ、2こ・1つ、2つ」と数える。

幼児の言語の獲得は、母親からの模倣がほとんどである。母親の使った言葉を真似して、それが同化していくが、本来覚えてほしいと思う言葉は、なかなか真似しないのが幼児の特徴でもある。したがって、いくら頑張って助数詞を覚えさせても、なかなか定着しないのは、実は幼児と大人の言語構造の違いがあるからである。

助数詞のような独自の言語は、モノと助数詞の関連性が特に大切になる。幼児の発達段階では、上手く処理できない方が普通かもしれない。

ところが、『KIDS2』から助数詞を学習すると、自然に定着し始める。これは「助数詞を覚えた」というより、分類(関連性)の意味・仕組み等が分かり始めたことの方が要因が高いと思われる。

幼児にとって、紙の助数詞より、紙と関連している鉛筆などに意識が強く働くため、紙と鉛筆が同じ仲間と捉えることから助数詞を混乱するわけである。

このように考えると助数詞の学習も、発達上非常に大切な学習となる。無意味に覚えさせるより、『テキスト』のような配列を示して学習した方が、はるかに学習効果が高いのは数も言語も同じである。

普段教えている『テキスト』の数や言語が、算数や国語の基礎になっていることを理解してほしいものである。

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チップと言語

幼児が言葉を聞いたり、話したりすることができるのは、言葉の内容について「考える」ことができるからである。乳児も発声器官や聴覚器官は機能しているが、言葉をうまく話せないのは、あるものを移し変えて表現するシンボル的思考が未発達だからである。

たとえば、チップを数えて、束ねて、構成して、位取り記数法と命数法を獲得していくが、決して命数や記数から数の構成が分かるものではない。つまり、幼児にチップを数えさせて、それを10枚ずつ束ねることでシンボル的思考が働きそれが言語(命数法)へとつながっていくわけである。

このことについて、ピアジェも「思考が言葉をつくり出すのであって、言葉が思考をつくり出すのではない。」と述べている。

そろばんに布数した数を読んで書いた学習だけでは、量がイメージできるわけではないから、思考(構成力)が働いているとはいえない。さらに珠算の「合成分解」も言葉による計算方法であるので、これも思考が働いているとはいえない。

思考と言語を指導者がしっかり認識していないと、チップを数えさせる、束ねる、このシンプルな操作を幼児に教えることができなくなる。結果、幼児の思考力は上がらないし、記数法も命数法も混乱するようになる。この混乱は「相互干渉」というもので、学習意欲の低下を表わす信号のようなものである。

幼児・1年生には、「無駄な言語」ほど迷惑なものはない。

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パズルテキスト

★ 三角形の意味

「3本の直線で囲まれた形を三角形」という。

また、三角形は3つの点を直線で結んでいき、はじめの点に戻ったときにできる形でもある。したがって、算数教科書では、動物を囲むような算数活動を入れているわけである。

そこで、三角形の定義は「3つの辺と3つの頂点がある」ということになる。2つの点であれば、直線(線分)になるだけであって、囲みを作ることができない。これが数学の「平面図形」と結びつく点である。つまり、二角形はないということになる。だから、三角形は、平面図形の一番もとになる形となり、四角形も五角形も三角形に分けて考えることができるようになる。さらに囲んだ領地が面積の基盤として捉えられるようになっていく。

三角形の定義は、キーワードを使えば「3本・直線・囲まれた」となる。だから、『パズル2』は、三角形の定義にかなり拘った内容と理解できる。

『パズル1』は図形の概念形成から考えた内容であるので、やはり『パズル1』からスタートすることが大切である。

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反響 !!

今回の共同通信社から発信した「葛原先生の塾訪問記」は、青森、千葉、茨城、山梨、群馬、愛媛、長野、三重、鳥取、島根、福岡、長崎、沖縄(今日現在)の新聞に掲載された。

全国大会後、たくさんの問い合わせ、入会者が増え始めた。

SSKCLUBに入会すると、生徒数が増えるのは、「幼児・算数・珠算」が現在の教育にマッチしているからであり『テキスト』を使えば自然に児童の学力が上がってくるので、保護者の口コミが始まり、入会者が増えてくるわけである。

要するに「算数ができる珠算」を保護者は求めていることになる。しかし、現実は教材無くして語れないことであるから簡単なことではない。

SSKCLUBに入会してもマニュアルから外れた指導をすれば「看板に偽りあり」となり悪いイメージがつくこともある。

「誰のために教えるのか?」 この当たり前のことを忘れている指導者に明日はない。

来年は「SSKCLUB10周年」になるが、昨日から来年に向かって始動開始である。

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SSKCLUB全国大会

全国大会も無事終了し帰宅しました。

千葉はじめ関東の先生方には大変お世話になりました。

今回は算数テキストを中心に講習したが、とにかく時間が足りず自分としての出来栄えは、70パーセントかな?しかしながら会場の皆様の熱気に助けられ、何とか大役を果たすことができたことは、大きな喜びである。

今日は疲れたのでここまで!

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サプライズ!

「ぱちぱち日記」に掲載された通り、昨日「テレビ番組制作会社」から取材の依頼があった。http://ameblo.jp/nakajyuku/

従来の珠算教育との違いを、『テキスト』無しで説明するのは非常に難しいが、担当の方が「わかりました!」と驚いたのは、「これは何算で計算をするのか?という演算決定能力がSSKCLUBは習得できる。つまりいくら有段者でも式を間違えたら高い計算力は使い物にならない。この演算決定能力のもとは、計算の意味が大きく関わっている。この計算の意味がわかれば、さらに計算の仕組みと算数と絡めながら教えていくことができるのである。」

このあたりまで話せば、従来の珠算教育との違いがよく分かって頂けたと思う。

詳細は全国大会で話すことになった。

明日から全国大会へ向かうが、今年も新聞社、テレビ局に取り上げて頂いたことは心から嬉しいことである。

SSKCLUBの会員や関連会社の人達に協力を頂いて、ここまで辿りついたことを深く感謝します。「ありがとう!」

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こだわる知能

先日、共同通信社から取材内容の確認電話が入ったが、いよいよ全国的に掲載され始めた。SSKCLUBの入会の問い合わせの電話やHPやブログのカウントが一気に上がり、やはり新聞の威力は凄いものだと感じた。

今回、掲載された葛原先生には心よりお礼を申しあげます。

http://with-sskclub.blog.ocn.ne.jp/blog/2009/06/post_b837.html

http://ameblo.jp/nakajyuku/entry-10289713571.html

一般的にSSKCLUBの会員は、教育の情熱がある先生が多いが、さらにその中で活躍されている先生は、ほとんど「こだわる知能」を持っている。つまりこの「こだわる知能がなければ大成は難しい。」と言ってもよいだろう。

珠算教育は、「そろばんを使って計算する」基本的理念は崩せない。さらに時代の流れと共にそろばんの需要が確実に減っている現実がある。

どんな業種でも発展している企業は、まったく別なものに着手するより、今あるものをとことんこだわり続けて行く方が成功することを知っている。

今回の取材で、広く一般に社会貢献できる教育でないと、珠算のニュース性は低いと感じた。

「やはりこだわり続けてきてよかった。」

もうすぐ全国大会! いよいよ今期の開幕である。

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