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2009年2月

応用運珠法

運珠法を分析すると、0+1、0+2 → 1+1、1+2 → 9+9までの加法は90種類・減法も90種類ある。その他に、45+5、53-7、99+3、100-5などの「応用運珠法」もある。このように多数ある運珠を覚えさせるのは、正直1年生以下の児童には非常に難しい。覚えさせるより考えさせる方が遥かに児童の負担は軽減される。

さらに45+5、53-7、99+3、100-5などの問題は、応用運珠法であるから数理で捉えた方が誤答は減るし筆算との関連性も強くなる。計算力は何も答えを出すだけの力ではない。むしろ計算の道筋が理解できる力の方が重要だと思う。

↓95+5、100-5、96+4、100-4と展開すれば「応用運珠」も数理的に理解できるようになる。さらに数直線の構造が理解できるようになる。

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世の中の珠算に対する期待が、算数や低学年へと向けられているわけだから、これまでの運珠法による古典的な指導法は改めるべきであると思う。

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岡山講習会

昨日、岡山講習会が開催され『ABACUS2A・B』『ザ・わり算1・2』を講習した。『2A・B』のメインは「合成分解」であるが、この合成分解は自分でもヒット作だと思っている。なにしろかなりの時間を費やして作成したが、特に「そろばん珠+数字」の組み合わせによる「運珠法」を使わない算数作問は、児童にはかなりのインパクトがあると思う。さらに作問の配列にも簡単に見破れない秘密があるので一度分析してもらいたい。

『わり算1・2』もSSKCLUBの教材を代表するテキストである。『ザ・わり算1』は、もう30年以上前の原稿の修正版なのでかなり年季が入っている。当時、父親に『ザ・わり算』を見られメチャメチャ叱られた思いがある。森毅氏が「文化や教育は親に反抗できない子どもが増えたら衰退するから大いに親に逆らえ」と述べている。まあ、これは正解だったような気がする。

ところで、水曜日に『ABACUS Lessonn1A・B解説&解答書』が発売されるが、来月の講習会から『解説・解答』を使って講義をするので受講者は必携となる。来月は『2A・B』『3A・B』の発売を予定しているのでご期待下さい。

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ABACUSパズル

2005年の5歳児の幼稚園の在籍率は57.7%であり、保育所の在籍率は37.5%である。両者を合わせれば約95%の幼児が機関に在籍していることになる。

※ 幼稚園は「幼稚園教育要領」に則っているが保育所は決まっていない。

幼児教育と小学校の間には教育課程や指導方法が異なっているが、幼児の発達には連続性があるため社会的な隔たりは通用しない。反面、小学校に入学すると算数教育が急に幅広く注目されるが、幼児期における算数教育は正直軽視されている。

珠算は算数の「数と計算」の領域に関わりをもっているが、算数には「数と計算」以外に「図形」「数量関係」「量と測定」がある。幼児の段階では「数と計算」「図形」の豊かな感覚や概念を養うことはできる。

認知傾向として年長児の場合、図形を見る時その大きさに着目して捉えることが多く「しかく」は正方形、「さんかく」は二等辺三角形と捉えている。また、向きが変わると同じ形に捉えられない特徴もある。

『ABACUS パズル1』は、図形の概念を学習する教材である。図形は計算問題と違ってある意味「覚える」ことができない非常に数学力を問われる領域である。

SSKCLUBでは、この図形を『KIDSパズル』(数パズル)→『ABACUSパズル1』→『ABACUSパズル2』で学習する。

下の写真は『ABACUS パズル1』P 1の問題であるが、まず「さんかく」の認識の低さに驚くと思うが、学問とはこんなところから教えていくから面白いのである。

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珠算の位置づけ

4月より「新学習指導要領移行措置」が始まる。珠算人も鋭い目を向けて対処しなければ教育に携わる者として社会から疎外される恐れがある。

特に算数教育の中に珠算を溶け込ませることが、「社会に役立つ」という考え方は、今後さらに重要視されると思う。

算数の目標は「生活上ならびに今後の数学上必須な数的処理能力を養うこと」であるが、珠算はこの目標や考え方に対応できる内容を十分にもっている。問題は、算数科の中に珠算をどのように位置づけるかである。3・4年生の算数でそろばんが教えられることを指しているのではない。)

具体的な例をあげてみる。

珠算と筆算の「わり算」を比較すると、児童が筆算でもっとも苦手としているものは「商の発見」である。珠算は被除数の首位だけで簡単に仮商が決められ、過大商のときは「もどし算」で商の修正ができる。筆算のように商の適否を暗算で確かめる必要はない。このように考えると「わり算」を珠算で捉えることにより、立商→あまりのわり算→もどし算→九立商が全て盤面で処理される。この根底にあるのは珠算式暗算と数学力の活用である。

珠算の計算力を算数に溶け込ませることは珠算で培った力を算数で発揮できることである。それには指導者が意識して珠算の学習体系を「学習指導要領」に合わせてプログラムする必要がある。『7Bもどし算』この学習を数学的に教えることが大切!

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一体三相の計算

昭和52年の小学校指導要領に「一体三相の計算」が記載されている。一体三相の計算とは「暗算・筆算・珠算を一体化した計算」のことである。

その当時はそろばんが計算器として活躍していた時代であるが、遡れば明治時代から続いた「そろばん教育」を算数に融合させようとした考え方である。つまり、珠算を学習することにより「珠算式暗算」が習得でき、それを生かして小学校の算数の暗算と筆算に結びつけば算数の計算力が非常に向上すると考えられたわけである。

そこで「算数現代化」で、当時4学年で習っていた「小学校のそろばん」が3学年に移行され珠算塾も入学者のほとんどが3学年からとなった。そこに着目した珠算業界は更に3学年から1学年にそろばんを導入してもらう働きがけをしたが結果はご存知の通りNOであった。

今、この「一体三相の計算」は死語のようになっているが、もしその当時に1学年から珠算が算数に導入されたならば、子どもの数学力は逆にガタガタになっていたと思われる。ただし、うまく計数そろばんを使えばこの一体三相は違った意味で通用するような気がする。

珠算の歴史を考えると、全盛期に珠算が算数の方を向いていたならば今の珠算の立場は大きく変わったような気がする。

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千葉スペシャル講習会

2月15日(日)千葉市において「SSKCLUB千葉県スペシャル講習会」が開催された。今回は『KIDS1・分類』を4時間かけて講習したが、最初に『テキスト』誕生までの話を毎日文化センター時代の失敗談を含めて話をした。

さて「幼児にそろばんを教える」とは、学習を早く始めるという単純なことではない。ファイル(千葉講習会の資料)を参照すると、5歳児の数の発達や加法の概念は想像以上に低い。この発達で従来のそろばんが上手く学習できるとは到底思えない。

sskclub215.xls」をダウンロード

ところがSSKCLUBで育った幼児は、1年後(週1回の授業)にこのデーターよりはるかに高い数値になる。学習により「概念や加法が一般的に育つならば、それこそ教育である」と思わないだろうか?その根底には社会性があり、平等(特別に訓練をしない)であり、公共の福祉に貢献できることがあるからだと思う。今の時代こそ教育原理・教育哲学等が再生されなければならないと思う。

早くから鍛えて鍛えて有段者を取得させてもそれは個人の満足に過ぎない。SSKCLUBもTVや新聞の取材を受けるが、その目的は「話題性もあるが社会に貢献できる新しい珠算教育という理由である。

来週も岡山で講習会(参加者30名)があるので、是非ともしっかり学んで欲しい。

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知覚数

「知覚数」とは「モノ」を数えなくても分かる数である。

下の丸は何番がわかり易いだろうか?

① ●●●●●●●●

② ●●●● ●●●●

③ ●●●●● ●●●

④ ●●●●●● ●●

⑤ ●●●●●●● ●

①は大人でも数えないと分からない数である。

②③は、知覚数+知覚数と数観念を使えば8が数えなくても分かる。

④⑤は左からの数え足しか、数え上げを使うと思われる。しかし5歳児は数観念が一般的に未獲得なので、②③を数え足しでとらえる可能性が非常に高い。

このことから、そろばんの合成分解は5歳では無理となる。さらに②③の問題で数え足しが出来ない幼児は、さらに知覚数が一般的幼児より低いので、そろばんの五珠を認識できない可能性がある。(6を2、7を3と間違える)

↓写真の『KIDS分類』のP16の問題は「知覚数の検査」である。この問題を直観(知覚)できない幼児は5歳以下の能力とみなしてよい。つまりこの発達段階では「合成分解はおろか五珠の操作もできない状態である。」ということになる。

『KIDS1』と『分類』テキストで、幼児の能力を把握することは指導者のモラルだと思う。指導者の能力は、幼児の能力以上に大切であることを認識して欲しい。

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↑『分類』P16

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形態知覚(3)

・下の丸の数はいくつでしょう?

●●●●●●●●

・丸を数えましたか?

・ところで、そろばんの「8」は数えますか?

・そろばんに布数した数は、数えるというより「読む」と思いませんか?

・なぜ、「読む」と思いますか?

それは「そろばんは、五珠を使っているからです。」つまり「五珠は数えられないものである」ということなのです。逆に考えれば、数えられないものを認識することは、年齢が低いほど難しいことです。また、五珠は次のような法則性をもっています。

・五珠は、一珠と同じ形、同じ色をしている。

・五珠は、一珠と近くにある。

・五珠と一珠は、「入れる、はらう」が共通している。

このように考えると五珠は便利であるが幼児には難しいのです。計数そろばんは5を色で区別しています。このような配慮があれば、そろばんの5を読むことは簡単になります。読むとは広辞苑で「数をかぞえる」とも解説していますが、幼児は大人が思っている以上に「形態知覚」から五珠を難しく捉えているのです。

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ABACUSスペシャル

SSKCLUBのテキストに『ABACUS スペシャル』がある。これは4学年以上の児童が入学したとき、一番最初に学習するテキストである。

内容は『ABACUS 1A』~『ABACUS 2B』までを、計算(特に5の合成分解)を主体にしたもので、普通児ならば1ヶ月で5の合成分解(2桁)がマスターできる。

また、『ABACUS スペシャル』を、『ABACUS 1A』~『ABACUS 2B』を終了した1学年に学習させると、5の合成分解がピタリと安定する。これは、『ABACUS スペシャル』の中に『ABACUS 1A』~『ABACUS 2B』が包含されているからである。

このことを証明した論述があるので紹介してみる。

エビングハウスは、再学習法とよばれる記憶の検査法を考案した。まず刺激学習を一定水準に達するまで記憶させる。(原学習)そして、一定時間がたった後に、再び同じ材料を原学習まで達成されたのと同じ水準まで記憶させる(再学習)。一般に再学習時には原学習よりも、少ない時間または回数で学習が成立する。エビングハウスは、節約された時間・程度を節約率として表し、それを記憶の効果とした。

ヘルマン・エビングハウスHermann Ebbinghaus1850年1月24日 - 1909年2月26日)は、ドイツ心理学者である。フェヒナー精神物理学から影響を受け、記憶忘却の研究を行った。「節約法」という方法を開発し、無意味な綴りを用いて「忘却曲線」を発見した

『ABACUS スペシャル』は、再学習の再生法を採用して編集したテキストである。

※ 『KIDS 1』と『分類』は、再生法と再認法の両方を採用している。

『ABACUS スペシャル』は、1学年・4学年以上にも使える学習心理に基づいたテキストである。

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形態知覚(2) 

昨日の「形態知覚(1)」に関連した内容を波多野完治氏が次のように述べているので参考に掲載してみた。

「寄算や引算などもはじめは頭の中では出来ないからして、はじめは実際の物についてやってみる。そうして結果を目で見て、それから段々と頭の中の計算に入っていくのである。そのような頭の計算と、実際にやってみる計算との中間に、そろばんの計算が来る。そろばんにおいては物の方が、そろばんの珠に抽象されているわけで、つまり半分抽象的な計算なのである。子供にそろばんを使って、計算を習わせることの意義はここから来ている。もちろん日本の現在のそろばんは、かなりむずかしい原理をもっているから(すなわち、そこには1をあつめた集団だけではなく、1を5つあつめた集団を一まとめにする五珠なるものが存在するから)、小学校の初学年からは使えない。初学年では、五珠のない、いわゆる計数器を使わせなければならない。」

※ 計数器・・・計数そろばん

波多野完治

東京生まれ。錦華小学校から府立一中受験に失敗したが開成中学入学。のち一高を経て、1928年東京帝国大学文学部心理学科卒業。法政大学教授、東京女子師範学校教授を経て、戦後改称したお茶の水女子大学教授、1969年同学長となる。

ジャン・ピアジェの発達心理学を中心に学び、アンリ・ワロンなどを紹介、また文章心理学、創作心理学、視聴覚教育などに多数の著作がある。 著書に「文章心理学大系」、「ピアジェ入門」、「新しい児童観」など。心理学のほか文学評論も行い、『文章心理学入門』はロングセラーとなった。そのほか『十五少年漂流記』など児童文学の翻訳も行う。全集12巻がある。

ここで波多野完治氏が述べていることは、SSKCLUBが実践している「KIDS」そのものである。波多野氏が述べている時代より現在の方が珠算の低学年化が進んでいるので、尚更珠算教育を考え直さねばならない。教育は社会性を含んでいるので、一部の子どもが特別にできてもダメである。

幼児、1年生のほとんどの児童が「わかる」教育でなければ、これからの珠算教育は厳しくなると思う。SSKCLUBは、児童の発達や学習能力に合わせて『テキスト』を提供している教育団体である。講習会へ参加してSSKCLUB理論を学んで欲しい。

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形態知覚(1)

そろばんの五珠を1と見誤る児童がいる。この要因は形態知覚によるところが大きい。形態知覚とは「実物あるいは図示または表に示されるものを知覚する力。視覚によって比較弁別のできる力。図形の形や陰影の細かい差異を認める力。」である。

五珠は一珠と同じ色・同じ形をしている。まずは、このことが誤る第一要因と考えられる。ただし「五珠は5である」という認識と5の数観念(2+3=5 5-2=3 3+□=5・・・)とは別である。その点を指導者がはき違えると、とんでもない誤答を児童がするようになるので注意して欲しい。

このようなことから「低学年ほど形態知覚が低い」ことを理解した上で学習内容を考える必要がある。

ところで、形態知覚と知能の相関指数は、心理学では0.47(0.4~0.7 かなり相関がある。)というデーターがある。このことから「五珠と一珠を区別できる能力は知能と全く関係がない」とは言えないことになる。

参考) 相関指数1~0.9(極めて高い相関)0.7~0.9(高い相関)0.7~0.4(かなり相関がある)0.2~0.4(低い相関)0~0.2(ほとんど相関ない) 指先の器用0.01 手の器用0.17

五珠の形態知覚の誤答は学習を積めばやがて消えてくるので心配は要らないが、5の数観念は、学習量より学習内容に拠るところが大きい。したがって、5の数観念が認識できるならば必然的に五珠の誤りも消える。一般的に「知覚は知能の下位概念である」と言われている点から「珠算は知能が高い児童の方が有利である。」ということになる。

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分類力は大切

珠算は「そろばんを使う計算」である。これは定義である。暗算を鍛えるにしても、まずそろばんが弾けなければ話にならない。では、そろばんという計算器を理解できるのは何歳頃なのだろうか?そろばんは、構造上「五珠1個で5を表す」という「約束ごと」がある。また、計算に「運珠」が伴い計算が便利なようで複雑に絡みあっているところがある。このように考えると、「児童の発達をふまえて指導した方が学習がスムーズに行われる」ことは言うまでもない。

次の資料を見ていただきたい。「sskclub.xls」をダウンロード(『発達心理学』資料)

この検査は、「りんごとみかんの似ているところ」等の類似点を年齢別に答えさせたものでる。

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           「分類学習」                               

児童は分類操作から概念が形成され、合成分解の法則性・因果関係の理解へ進んでいく。いくら合成分解を覚えても、それが「5の合成なのか10の合成なのか」は、正に『分類力』である。算数の教科書に「この計算は5を作ります。10を作ります。」と書いているだろうか?さらに「桁数」が増えれば二次・三次的な思考力が要求される。それは低学年の児童ほど辛く感じることである。

幼児・1年生あたりでは、論理的・抽象的思考が未発達であるから、学習内容を考え直す必要がある。児童のモチベーションが下がらないような学習内容は大切である。

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加法・減法の考え方

★ 8+7の加法の筆算と珠算の考え方を比較してみる。

① 数えたし・・・8の次から、9、10、11・・・と数唱を使い、7番目の数を答えとする。

② 加数分解・・・8+7=8+(2+5)=(8+2)+5=10+5=15

③ 被加数分解・・・8+7=(5+3)+7=5+(3+7)=5+10=15

④ 両数分解・・・8+7=(5+3)+(5+2)=(5+5)+(3+2)=(5+5)+(3+2)=15

小学校では「加数分解」から入り、他の方法も考え方として指導されている。吉田甫(教育心理学博士)の研究では「両数分解」が一番子どもの到達度が高いというデーターがある。

珠算では運珠法上「被加数分解」を指導している。

★ 15-7の減法の筆算と珠算の考え方を比較してみる。

① 数えひき・・15から逆数唱を使い7番目の数を答えとする。

② 減加法・・15-7=(10+5)-7=(10-7)+5=3+5=8

③ 減減法・・15-7=15-(5+2)=15-5-2=8

小学校・珠算ともに「減加法」を指導している。

筆算と珠算の加減算を比較した場合、共通点は「10の数観念」である。もう少し詳しく言えば「補数の利用」である。

筆算は記憶や思考的な操作を通して学習をするが、珠算は「運珠法」に従い、運動的に学習がおこなわれる。このように加減算を分析すると、珠算も「10の補数」を使うならば、筆算と共通した思考で学習をさせた方が筆算に同化できると思う。

このように考えると、以前ブログに書いた「加減九九」はどう考えてもナンセンスだと思う!さらに「かけ算九九」も同じである。もし「加減九九表」「かけ算九九表」を見ながら計算を指導しているならば、すぐに止めるべきである。

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練習

一般的に珠算は、「やり方を覚えた段階で、学習を中止すると忘れてしまう」 傾向がある。つまり、珠算は「練習」によって学習が完成する教育である。これは算数の計算でも「数学的な理解」が必要であるとはいえ、やはり練習によって覚える点は同じである。

「珠算も算数も、練習が学習指導において占める割合が大きい」という点から、効果的な練習が新しい問題を正しく、そして速く解決できる能力を養うことになる。それは「理解の成立」後、その思考原理と行動を反復(スパイラル)的に適応することである。新しく習う内容が既に習った内容と異なるようなものは「練習する」とは言わない。

例えば4+7の運珠を理解した児童に、6+7の問題を与えても練習にはならない。それは4+7と6+7の運珠が全く別なものであるので、練習というよりはむしろ「理解」であると思った方よい。

練習によって計算ができるようになったが、その後練習を怠ったために、一度成立した理解が崩壊してしまうことである。これを「練習の忘却」という。そこで、ゲイツの「仮想曲線」を珠算教育に当てはめてみる。Fsfs_2

                                                                                                                                                                                 

図のAのように、反応の成立直後にその学習から離れると、ほとんど0に近いところまで落ち込んでしまう。ところが、C・Dまで練習を続けると、崩壊のカーブは緩やかになる。つまり、珠算の学習を開始して直ぐに止めてしまうと、また初めからやり直しになる。ところが1級合格以上であれば全く初心者に戻ることはない。

このように考えると、初歩の児童には「理解を優先させる学習」をしなければ「忘却率」が高くなる。したがって「4+7と6+7が運珠が違う」という捉え方より「4+7と6+7は計算の構造が同じ」と捉えた方が忘却は止められることになる。

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珠算教育

昔の話であるが、全商協会主催の珠算実務検定試験の創設にあたり「珠算能力検定試験の1級に合格しても、実務には役立たない。」という考えから、文章題の商業計算が大幅に採用されるようになった。これは当時としては画期的なことであったが、この文章題について珠算界の中から次のような考えを唱えた人間がいた。

「この文章題だけでは、世間の要求に対して、万全の答になっただろうか。問題を規格化し、計算が機械的にできるようなものでは、文章題を大幅に取り入れたということだけで終わってしまう。問題は、もっと根本的なところに伏在している。すなわち、新しい問題・新しい場面に直面して、これを如何に解決するか、いわゆる解決の能力が必要なのである。珠算1級の計算能力と、問題解決の能力を併せもっていてこそ、役に立つものである。」

当時は電卓もない時代(昭和30年代)であるから、珠算は100%計算器という役割であった。したがって実務計算でも良かったわけである。それにも関わらず「問題解決」という数学的な考えをもっていた人間が当時いたとは驚きである。仮に珠算全盛期に実務計算が算数に置き換えられていたならば、珠算の歴史は大きく変わったと思われる。

学習は反復練習という説がある。人間は他の動物が発達したように機械的な反応を示す部分もあるが、だからといって、与えられた数字を反射的に計算するだけでは考える動物としては情けないことである。これでは本物の計算能力にはならない。

今、SSKCLUBが目指しているそろばん・算数教育は、昔から珠算人が目指していたものかもしれないが、ただそれを具体的に証明した教育は長い歴史の中では僅かである。

今、そろばん・算数教育を実現している教育の中で「SSKCLUBが一番」と言われるようになりたいものである。

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ABACUS Lesson11A・B

『ABACUS Lesson11A・B解説&解答書 』を発売しました。

『ABACUS11』は、ぱちぱち日記でも紹介したように、「正の数・負の数」を数直線を使って、小学生が理解できるように編集してある。従来の珠算教育では考えられない構成だと思う。『解説書』は具体的な指導や注意点を記載してあるので是非活用して欲しい。

「正の数・負の数」は、これから中学で数学を学ぶ時「負の意味」が非常に分かりやすくなると思う。珠算のマイナス計算は「計算上のこと」で「負の数が分かるわけではない」したがって「意味は分からない」が「計算はできる」ようになるのである。

この『ABACUS11』は、負の数の加減乗除や小数の暗算がたくさん学習ができるように編集しているが実はもっと凄い数学力が含まれている。

そもそも算数には、二つの側面があり、一つは「計算力」の向上で、もう一つは「数学的な考えを養う」ことである。前者の計算力は日常生活で役にたつような実用面の能力である。後者の数学的な考えは、本来算数が必要とされる「思考」の力である。算数を学習したことが他の教科にも発揮できるような力であるので、これは実用的より応用的な能力であると思う。

さて、この計算力と数学力は、車の両輪の関係であるので、片方が欠けても走れなくなる。珠算は計算力だけで走れるわけであるからオートバイだろう。しかし、SSKCLUBは、珠算であるが、決して計算力だけのオートバイではないことは事実である。

そこで、数学力を重視している『テキスト』を挙げると、『ザ・わり算2』『ABACUS パズル2』と『ABACUS 11A・B』になる。この意味が分かるかどうかは指導者の数学力が関係してくる。『テキスト』はなるべく数学的には作っているが、珠算教育であるということもふまえているのでその点が難しい。

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分数

「2011年 新学習指導要領」は、2学年から分数が導入されるようになる。内容は「紙をきちんと重なるように二つに折って、2分の1、4分の1などの簡単な分数」をつくる程度であるが、分数の意味を理解する上で基礎となる素地的な学習活動を行うことが狙いである。そして、第3学年で、等分してできる部分の大きさや端数部分の大きさなどを表す分数の意味について理解できるようにする。(4学年から移行)

平成10年度の「学習指導要領」(ゆとり教育)では、3学年の分数の意味が4学年に、同分母の加減算は、5学年に移行された。この背景には、「分数が難しい」から後回しにしたわけがあるが、それを「分数ができない大学生」が続出したら、今度は2学年から分数を導入して対策するらしい。何とも定まらない「学習指導要領」である。迷惑は児童と教師であろう!

SSKCLUBでは、今年7月の全国大会(千葉県)において『分数2』を発売する予定である。内容は、『分数2』が4学年を対象に「仮分数・帯分数・倍数・最小公倍数」と分数強化を図る。

公倍数や公約数はそれぞれ通分や約分に繋がっているが、倍数や約数の基は計算力(暗算)や数を見通す能力である。せっかく珠算を習って暗算力が付いているのに、倍数(かけ算)や約数(わり算)を学習しないのは、もったいない話である。これこそ珠算を活用してないことになる。

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『検査用 分数2』  現在検査中 

『検査用 分数3』  現在執筆中 

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『ABACUS 3B』 スパイラル学習

新学習指導要領は「指導内容をなだらかに発展させたり、学び直しの機会を設けたりするなど、発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による学習指導を進められるようにする」を求めている。

1学年で簡単な3桁(120までの数)を学び、2学年で十進位取り記数法の原理を3桁、4桁まで拡張する。ここで、注目する点は「1学年で体物を数えることを通して、新たに百のまとまりを作ることで簡単な3桁の数を知る」ことである。

↑この内容は、チップと『ABACUS 3B』そのものである。年長児の後期では、100枚のチップを10ずつまとめて数えることが可能な幼児もいる。さらに「100は10が10こである」という構成も分かり始めてくる。

『KIDS』から『ABACUS』になっても学習が難しくなったわけではい。むしろ1桁からのスパイラルが始まるので逆に易しくなる。『ABACUS 3B』では100以上の数を、そろばんを使って十進位取り記数法を学ぶ。とくに103のような「空位の0」(空集合)は、そろばんの教具性が発揮できるところである。

このSSKCLUBと2011年から始まる算数の学習体系は全く同じであると断言できる。算数では1学年で120までの数を学んで、2学年で十進位取り記数法を習うことを考えると、SSKCLUBの方が完全に学習が先行する。このことから『ABACUS 3B』は、加減算までの総まとめを学習できる大切なテキストとなる。このテキストが上手く通過できる児童は、間違いなく学校の算数も「よく分かる」ようになる。

幼児・1学年からSSKCLUBに入学すると「学習指導要領」と並行して学習して行くので、大変濃い学習ができる。早い時期に「できる、分かる」が獲得できれば、同時に算数好きな児童になる可能性も高くなる。

↓『KIDS 5』と『ABACUS 3B』のスパイラル学習!

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新学習指導要領

新学習指導要領の特徴は、ただ学習時間が増えただけではない。内容も指導方法も改善されている。例えば「ものごとを数・量・図形などに着目して観察して的確に捉え処理する。」これについては、数と計算を『KIDS』『ABACUS』で、量を『分数』『小数』『割合』で、図形を『パズル』で、それぞれ対処している。

次に「学習指導要領」の解説を述べてみる。

例えば、第2学年で学習する「簡単な場合についての2位数と1位数との乗法の計算」である12×4のような計算は、第2学年で学習しているかけ算の意味や1桁の数のかけ算(かけ算九九)、十進位取り記数法についての知識、数を合成・分解して捉える数の見方などを活用して、計算方法を考えることができます。そのような経験を重ねるうちに、数の範囲が3位数、4位数・・・と広がっても、同じような考え方で解決できないかと考えていくことができるようになり、一般化が図られます。さらに、通常の授業では取り上げられないような数の範囲であっても、同じように考えれば解決できるという見通しをもつことができます。

このように、学習したことを基にして次々に新しい問題(発展的な問題)を見付け解決していく過程では、基礎・基本となる内容の確認が繰り返し行われることになります。その意味では、「活用」を重視する学習は、実は、基礎・基本の習得を重視する学習であるともいえるのです。今回の学習指導要領では「指導内容をなだらかに発展させる反復(スパイラル)という考えが含まれていますが「活用」にはそのような一面もあります。

この『解説』を読むと『テキスト』を使っている先生方は、『ABASUS 4』~『ABACUS 9』の「かけ算の学習と同じことだ!」と思うはずである。

『テキスト』の中で12×4から始まり、2×12 → 20×12 → 22×12 → 222×12 → 2222×12 と展開する問題は、これから小学校の算数で始めようとしている学習体系と一致している。このように『テキスト』で基本的な問題を繰り返しながら学習を上げていく方が、結果的に理解を深め、早く確実に計算ができるようになる。さらに、かけ算からわり算へと計算の意味を正しく転移させれば、同時にわり算もよく分かるようになる。

従来の珠算教育とSSKCLUBの学習の違いが理解できるようになるには、まずは『テキスト』を使うことである。

↓ この学習体系が大切である。

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わり算

一般に、a×□ =c(包含除)または、□×a=c(等分除) の□を満たす算法を、c ÷aと定義するが、a、c が整数のときの結果は必ずしも整数とは限らない。

この場合、c=a×m+r (0≦r<a)となる。(あまりは0以上、わる数より小さい)

これを3年生(算数)の児童には、c÷ a=m・・・r と書かせるがこれは便利的な表現にすぎない。

【ザ・わり算2】P1の18÷4の問題は、四三12、四四16、四五20を唱え、あまりが4より小さくなるような答えをさがすが、ここで「なぜ四三12→四五20ではだめなのか?」を理解できるかどうかが大切である。

そこで、みかん18こを4こずつ○で囲めば、当たり前のように四四16で解決できる。(↓写真)それをそろばんを使って計算をすれば「計算の過程」や「あまり」が珠を通して見えてくる。筆算で、あまりが除数よりも大きな答えをだしても平気でいられるのは、数字では数が見えないからである。そろばんを使えばそのような間違いは少なくなる。

「あまりのあるわり算」は、そろばんで計算すれば理解できるにも関わらず、形式的な指導に陥ると非常に無駄な学習になる。ましてや「あまりのあるわり算」を教えない珠算教育はもっと悲しいことであると思う。

最後は「あまりのあるわり算」を暗算で理解できるようになれば、算数の「泣きどころ」は「笑いどころ」になる。同じ珠算塾で「あまりのあるわり算」を教えるか?教えないか?で、児童の算数能力に大きな差が出ることは間違いないと思う。

↓ このような問題が2年生でも理解できるようになる。

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