珠算式暗算
そろばんの計算が上手くなると、自然に「珠算式暗算」(読み上げ暗算と見取り暗算)が習得できるようになる。この珠算式暗算(読み上げ暗算)に関しては、知能と暗算の相関は低いという研究報告がある。(伊藤善仁 知能と読み上げ暗算の関係)それによると、暗算は知能より学習方法によって向上するということである。さらに初歩的な段階は、学習量はあまり関係がなく、暗算も量より質が大切であるということがいえる。したがって、練習パターンと練習量を増やせば確実にそこそこの暗算の達人にはなれるということである。
読み上げ暗算と見取り暗算は同一の計算なのか?
読み上げ暗算は、数(言葉)を聞いて計算をするので「音声言語」(音の言葉)である。音声言語は耳を経由して側頭葉の聴覚野に入力される。読み上げ暗算は、時間パターンを持った音の刺激である。読み手が発した情報(数)を聞き逃したり一部を忘れてしまったりすると、全体の意味が全くわからなくなってしまう。
見取り暗算は、数(言葉)を見て計算をするので「書字言語」(文字の言葉)である。書字言語は目を経由して後頭葉の視覚野に入力される。見取り暗算は数を見て指を動かすと、刺激が視覚的に捉えられる。読み上げ暗算と違って、時間や空間を越えることができ相手に途中の情報を伝えることができる。
ところで公文式の計算は、そろばんのような図(珠)の計算(珠と数字の組み合わせた計算)ではなく、完全に数字同士の計算である。さらに計算のベースが1桁であるために、前頭葉の前頭前野を使う。このように考えると、計算の方法によっては、脳を使う場所が異なることからバランスよく学習(刺激)した方がよいということになる。
暗算の前に習うそろばんの学習も、1桁の計算から導入した方が前頭葉と後頭葉が刺激されることになり、脳のバランスも非常によくなるということになる。1桁の計算ならば、合成分解も確実に2桁よりできるようになる。2桁以上の合成分解は、桁数に意識が働き、合成分解が混乱して見えなくなる恐れがある。したがって修正には、「覚える」か「感覚で計算する」しかなくなる。これでは折角の脳の刺激効果が失われてしまう。
このように考えると、「珠算式暗算も低学年は、1桁から導入した方がよい。」ということになる。
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