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先生の役割

昨日、三重県の会員の先生から指導について次の質問(電話)があった。

「33+22などの2桁の合成の問題で、十の位の合成はできるが、一の位の合成は間違えます。なぜでしょうか?」

これは、ブログ「珠算式暗算」でも書いた通り、2桁以上の計算になると急に誤答が増えます。それは「位」と「合成分解」という二次的思考が要求されるからです。さらにわからなくなった段階で児童はもう考えようとしません。したがって、そろばんの珠を図として見ているにすぎずパターン化計算に陥ってしまいます。(数→絵) 解決策は学習が発達より早く進行していますから前の学習に戻すべきです。

合成分解というのは、2+3・3+2・5-2・5-3のような問題であるが、その前提には、5珠を5と認識しているかどうかである。その先生に「合成分解の前の学習でつまづいた点はないですか?」と質問したら、案の定「2+6が上手く足せなかったのです。」 と答えた。これは完全に5の認識不足である。(ABACUS 1BかKIDSスペシャルを再学習)KIDSから学習した児童には、あり得ない間違いである。

計算を覚えることは可能だが認識は覚えることはできない!

3桁までの加減算は、約5000パターンもある。

以前、鶴城小学校(西尾市)で、普通クラスに算数ができない1先生男子2名がいて、そのクラスの担任の先生から「算数力を調べて欲しい」と依頼があった。そこで学校のテスト問題を使って検査したところ、1名が12+23・35-12等の計算は正答できたが、①12+□=35  ② 35は、10がなんこ、1がなんこ集まった数ですか。という可逆的な計算や数の構成的な問題になると全くできなかった。そこで先生に「このバランスの悪さはおかしいですね。何か特別な計算練習でもさせているのですか?」と尋ねたら、「公○へ行ってます。」と答えた。

計算をたくさん練習しても算数ができるようになるとは限らないのである!

このような事例から、算数は数の認識や数の構成が大切であることがいえる。基本的なことをしっかり学習した児童の方が、最後は応用的な問題に思考が働くようになる。これは加減算のことだけではなく、乗除でも同じことがいえる。くれぐれも「かけ算」の意味仕組みをしっかり教えて欲しい。指導者が九九を唱える(覚える)ことを要求した瞬間、子どもの思考力は止まるものである。

教育に対する方向性を間違えると子どもの成長の妨げになることを、教育者は知っておくべきである。

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