計算の仕組みと法則
あけましておめでとうございます。
本年もSSKCLUBを宜しくお願いします。
1月1日発行の『全国珠算新聞』(全珠連)が届いた。今回、三重大学教育学部教授、全珠連学術顧問の上垣渉先生の「みちしるべ」が掲載された。その内容を一部紹介してみる。
平成20年4月に実施された文部科学省の学習テスト(A)の一つに、約150平方センチメートルの面積のものを、「切手1枚」「年賀はがき1枚」「算数教科書の表紙」「教室一部屋分のゆか」の中から選ぶという問題がありました。その正答率は、実に17.8%という低いものでした。
そして、この種の問題に関しては、過去の多くの学力調査で、常に低い正答率であり、その都度、識者は「量感覚が身に付いていないからだ」と指摘していました。今回の低い正答率に対しても、文科省の解説は「面積についての感覚を身に付けることに課題がある」というものでした。しかし私は、正答率の低さの原因はもっと別なところにあると思っています。つまり、単位のしくみ(法則)の無理解が最大の原因であると思います。
(中略)
重要な単位の仕組み・法則を教えないわけだから、子どもができないのは当たり前です。面積の単位のような「組立単位」は一定の法則に従って整然と作られているのですから、その「しくみ」こそ教えなければなりません。
算数には、単位のしくみ以外にも、法則的に構成されている内容が多くありますから、その法則性を教えることが大切だといえます。
今回の「仕組み・法則性」を珠算教育にあてはめてみると、例えば、「小数の乗除計算」は、3級の「定位法」を基にして教えている。この「定位法」は「答えの一の位を乗数・除数の桁数によって定める」という点では法則性があるが「計算の仕組みは教えない。」という問題点もある。わかり易くいえば「小数の意味・仕組みはわからなくても、計算はできる。」というおかしな法則である。
「なぜ計算の仕組みを教えないのか?」という疑問については、「なぜ計算の仕組みが教えられないのか?」と捉えた方が正解かもしれない。それは、小数計算の前に「小数」という数を教えないからである。整数に置き換えて考えれば、5という数がわからない児童に、2+3・2×3の計算がわかるでしょうか?わからなければどうします?「強引に覚えさせるしかない。」となりませんか?「小数とは何かわからない。小数の加減計算もわからない。でも乗除計算はできるようになる。」この矛盾はどう考えても悲しい。さらに整数の暗算は得意だが、小数の暗算は不得意。これでは、せっかく習った計算力が死んでしまう。そう思わないだろうか?
この小数計算を整数と同じように、数の理解(小数を教える)→加減計算(小数の100分1の位までの加減計算を教える)→乗除計算(小数の計算を筆算と同じ構造で教える。)と展開すれば、小数の計算はガラリと生き返ってくる。(珠算教育も変わる)それによって児童のモチベーションも同時に上がってくる。さらに「そろばんの教具性」を利用すれば、単位の換算も非常にわかり易くなる。
つまり、上垣先生が論じていることは、
SSKCLUBは既に実践している!
新しい年を迎え、厳しい発言をしますが、これも珠算教育の発展のためです。
どうぞ今年も「SSKCLUB ブログ」を宜しくお願いします。
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