分かるとはなんだ。
計算ができる(処理)ことと、わかる(解く)ことは根本的に違う。
珠算は計算処理して答えを出せばOKだが、算数の場合、計算のプロセスを考え、何通りかの算法を使って答えを解くことに重きを置いている。(算数も最後は筆算でまとめられる。)
例えば、わり算の場合、12÷4は、珠算も算数も同じ展開で計算するが、13÷4の「あまりのあるわり算」は除外されているので、2学年以下の児童は、わり算は「わりきれる」と思い込んでいる。
ところが、SSKCLUBで学習している児童は、統合的に「あまりのあるわり算」を学習するので、13÷4、14÷4、15÷4と16÷4は、計算をしなくても判断ができるようになる。
このように、しっかりした計算をしたり、検証したりしなくても「何となくわかる」という能力を「ヒューリスティック」と言い、算数では類推したり、問題解決する時に用いられる。
珠算=計算だけでなく、数学を取り入れた学習をすることで、頭に栄養が与えられ、知識が調節できるようになる。
これからの社会は、計算処理が速い人間より、創造的な能力が高い人間の方が必要とされるのだ。
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算数スペシャル5年下
2020年に向けて『算数スペシャル5年下』を制作中。(現在P13)
今日から単元「割合」だが、元はSSKCLUBで学習している『割合』をアレンジすることになる。
会員には非常に教えやすいと内容となるのでご期待下さい。
2020年から指導要領が変わるが、5年生は「分数の乗除」が6年生へ、「速さ」が6年生から5年生に移行される。(※他の単元は殆ど変らない)
珠算教育といえども、今は当たり前のように算数を含めて指導しなければならない。これは「平成」より「令和」の方がもっと加速してくる。
「人間はどこから来て、どこへ行くのか」、これは珠算教育も同じである。ただし、人間より確実に早く答えが分かるので生きている間に見たいものである。
仕合わせの原理
人間は悩みがあると不自由になる。
それは、教えることも同じだ。
指導者に悩みがあれば子ども悩む。
★「感じて而る(しかる)後に応じ 追われて而る後に動き 已(や)むを得ずして而る後に起ち 知と故を去りて天の理に循う(したがう)」(荘子)
他からの働きかけを受けてそれに応じ、迫られて動き、已むを得ない状況になって起ち上がる。
無理に子どもに強制して学習させたり、他と比較をして能力の物差で測ってはいけない。
こざかしい知恵や意思を捨てて、ただ自然の理に従う。
指導に悩んでいるならば、その原因を探し認めることである。
それは「学ぶ」ことである。
つまり、学ぶとは「仕合わせ」の原理なのである。
熟達者
熟達者には、定型的熟達者、適応的熟達者、創造的熟達者がいる。一般的なそろばんの先生は定型的熟達者をさす。
適応的熟達者は、状況に応じて知識や技能を柔軟的に組立て、新たな学習法を発明する者である。
例えば、九九は覚えているのにも関わらず、意味を見出すことができず、「かけ算拒否」をする子がいる。(※九九とかけ算は根本的に異なる)
こういう場合、先生が頭ごなしに「覚えろ」「よく考えろ」と言わず、子どもに気づかせる教材を提供する等、工夫して指導することが大切である。
思考の向上は、問題解決できるような教材でなければ、「絵空事」で終わるのが落ちである。
適応的熟達者は、深層構造まで考えて知識を使いこなせるので、低いレベルの児童に合わせて、自分の知識(思考プロセス)を理解できるように伝えることができる。
SSKCLUBは、適応的熟達者のプロ集団なので、安心して子どもを任せられるということである。
【算数スペシャル2年下P23】
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定量的に捉える
今、『ドリル6&7』を改訂中ですが、先生方に伝えたいことがあります。
『ABACUS6』の乗算(2桁×2桁)は、とても難しいと思っていませんか?
「特にP17以降!」
これは誤答が多いから難しいと判断していませんか?(感覚で判断!)
そこで、2桁×2桁の4パターンの作問を数値(確率)に表してみると、難しさの要因が見えてきます。これを※定量的な捉え方といいます。
※何かの性質を数字にして、その数字をモノサシの上に置くこと。
2桁×2桁は、九九の積、分子積、部分積が複雑に絡み合っています。更に乗加位置が九九の積によって異なります。そこで、九九と分子積(パターン4)を一度バラバラにして、頻度と誤答の確率をデーター化すると、「どのパターンの組み合わせが難しいのか」が分析できます。
たくさん練習をしなくても、数理的に原理・原則が理解できれば、乗加法則は意味記憶として保持でき、適応的熟達者になれるのです。
「珠算を定量的に捉える」とは、「むりなく・かくじつに」計算が習得できるということです。
「お分かり頂けたでしょうか?」
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数概念・数観念の重要性
整数の理解は、ものの個数を数える(計数)操作が基本である。
次に一つの数を合成分解により構成的に捉えるように指導することが重要である。
数の合成分解は、数概念・数観念の形成にも欠かせないので、幼児期~1学年(前期)は『KIDSテキスト』を中心に展開するのが大切である。
例えば、計数そろばんの「5」は、10個の珠を二つに分解されたもので、それを合成すれば10となる。
また、8を10に関連付けて、「8は10より2小さい数」とみたり、式で10-2と表わしたりすることで、数を多面的に考えるようになる。
つまり、幼児期~1学年(前期)に合成分解(珠算)で躓くのは、計算より数の認識ができないことが要因となる。
そろばんを使って、早く学習を進めても理解が伴なわなければ、学習困難に陥るのは時間の問題であり、さらにモチベーションも下がる。
こんなつまらないことで悩んでいる指導者は、一刻も早く頭を切り替えて、「問題解決」するよう、学び直す(リカレント教育)ことを勧める。
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方法知と内容知
学問には「方法知」と「内容知」という考え方がある。
方法知は学び方を学ぶ能力。内容知は知識やスキルそのものである。
方法知はダイナムズムであり、場面や状況によって変わるが、内容知は既に体系化、固定化された知識。
つまり、方法知は属人的(個人に依拠)であり、内容知は普遍化・一般化されたものである。
例えば、珠算の「3+4」は、「5入れて1をはらう」という計算は普遍的だが、「5入れて1をはらう」については、運珠法を覚えなくても数理的な理解(数観念)があれば解ける。
また、かけ算も計算の構造(分子積)を認識しながら学習すれば、乗加法則が「むりなく」理解できるようになる。さらに、筆算の構造も理解しやすくなる。(領域一般性)
『SSKCLUB』のテキストは、全てにおいて方法知と内容知を融合させて編集されている。
したがって、テキストを学べば「算数(数学的考察力)がUPする」のは自然なことである。
(平成29年告示 学習指導要領)
計算の仕方を学ぶ際には意味を踏まえないまま公式などを暗記させたり計算を形式的に速く処理できることを技能と求めたりするなど、形式的な学習指導に終わるのではなく、計算の仕方の基に原理・原則があることや、原理・原則をうまく使って形式的な処理の仕方が考え出されることを理解することなどが大切である。
必要な知識及び技能を身に付けることで終わるのではなく、その身に付けた過程を通して数学的な見方・考え方が更に豊かで確かなものになっていくことも大切にしたい。
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ブライアン・キャウェルの言葉
自ら問いを立て、その解を自ら探すし、新しい方法で考え、新しい問題を解き、未来への新しいチャンスを作り出すことに情熱を傾ける。
自分の強みを活かし、人生において避けることのできない数々の失敗を乗り越えるレジリエンス(強さ)を持つ。たとえ理不尽な目に遭っても、簡単に挫けることなく、自分の失敗を実現に向かってどこまでも粘り強く取り組むことができる。(マイルドチャンプ創設者)
今の珠算塾はコンテンツだけで何とかやっているが、こんな目標で果たしてよいのだろうか。2020年以降の社会(仕事)は、コンテンツが優れていても、コラボレーション、コミュニケーション、クリエイテブイノベーションが無いと務まらなくなる。
これからの社会に対応できる子どもは、「思考スキル」を持った人間だ。
「教育改革」が叫ばれていても、化石のように変わらないのが指導者なのだ。
今年は指導者育成に力を入れ、SSKCLUBの質的向上を目指して行きたいと思う。
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モチベーション
やる気のない生徒に積極的に学習(珠算)してもらうには、先生はどのように対応したらよいだろうか。
モチベショーンには次の5段階がある。(低い順に記載)
① やらない
② 外的動機付け(叱られるから仕方なくやる)
③ 取り入れ的動機付け(友達に負けたくない)
④ 同一的動機付け(将来の自分のため)
⑤ 内的動機付け(やること自体が喜び)
この①〜⑤のどの段階に属するかを判断して、順番に上げて行くのが自然である。
「桃栗三年。柿八年。ゆずは九年で実を結ぶ」
さらにこんな言葉をもある。「梅は酸いとて十三年。蜜柑、大馬鹿二十年」
「馬鹿と天才は紙一重」だから、大馬鹿になるのも天才になるのも20年はかかるということである。
教育は学ぶ者、教える者の哲学(思想)が共通なものとなれば思想的な発展ができる。
SSKCLUBは、間もなく20年を迎える。
大馬鹿かもしれないが、絶えずベストのモチベショーンで指導にあたりたいと思うのである。
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わり算1
『わり算1』のテキストを大改訂します。
従来は『わり算1』と『ABACUS5』を併用して学習していましたが、今後は『わり算1』終了後『ABACUS5』の学習となり、スムーズに学習ができるようになります。
それに伴い『わり算1 解説&解答書』も新たに書き直します。(発売は未定)
※9月16日(日)栃木県本部講習会は、『わり算1』の講習がありますので、『わり算1検査用』のテキストを使って講話します。
参加希望の先生はお早めに申し込んで下さい。
http://sskclub.jp/%e8%ac%9b%e7%bf%92%e4%bc%9a-%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b/
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長野県スペシャル講習会
毎年8月に開催されている「長野県スペシャル講習会」が無事終了しました。
今年は異常気象(猛暑)による影響で、全国大会と広島県本部講習会が続けて中止になったので、今回の講習会が今期最初の講習会となりました。
しばらく講習会が無かったせいか、「講習会前ブルー人(自称)」でしたが、始まればブルーはマゼンタに変わり、きちんと4時間講話して終わることができました。
今回のテーマは、『算数スペシャル1年上・下』と『暗算ファイナル』。
算数の内容を中心に、最近の子どの学習状況(態度・心理)も含めて話すことができました。
※最近は、この件の質問が多いので、現代社会における子どもの特色かもしれません。
この講習会は、15年間継続していますが、校長の話や聴講している先生方の雰囲気から、確実に塾は成長していると感じ取れました。これは著者としても非常に嬉しいことなので、今後も続けて応援していきたいと思います。
やはり継続して一つのことに打ち込んだ成果は確実に形に現れますね。
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全国学力テスト
★ 全国学力テスト結果分析
(中日新聞 8月1日掲載)
文部科学省は7月31日、小学6年生と中学3年生の全員を対象に、4月に実施した2018年度全国学力テストの結果を公表した。
【小学算数】
平均正答率A問題63.7%、B問題51.7%
A問題では、12を0.8で割る式を示し、この式で答えが求められる内容を複数選ぶ設問で、正しい二つを選んだのは40.1%。12mのリボンを分割する選択肢は選べているが、0.8Lで12m塗ることができるペンキが1Lあたりでは何m塗れるかとういう単位量を聞く選択肢が選べていなかった。
小数の乗除の意味や計算や、日常生活の事象について数量を関連付けて説明する問題を苦手としている。
★学力UPに最適な教材です!
【コメント】
清水美憲(筑波大学教授)
算数の基盤になる概念に関わる弱点が解消されていない。知識・技能中心の指導で、本質に迫れていない可能性がある。基礎と応用を分断するのではなく、場面が示す文脈の中で、知識を活用していくといった指導の見直しが必要である。
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収束的思考と拡散的思考
人間の思考プロセスは大きく2つに分けられます。
①収束的思考
これは既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき、答えが1つしかない場合や明確な答えのある問題を解くのに用いられます。
算数や珠算の計算は、この収束的思考の代表的な学習です。
②拡散的思考
これは決まりきった答えがなく、複数の解答が得られる時、既に習った知識から考えを巡らせ問題を解くのに用いられます。
テキストの中では、『パズル1・2』が拡散的思考を多く含んでいます。
アメリカの心理学者:ジョイ・ギルフォードは、「収束的思考に優れている人間が必ずしも拡散的思考に優れているとは限らない。IQが高い人間が大人になるとパッとしなくなる理由はここにある」と論じています。
社会人になれば、新たに問題を発見したり、新たなものを生み出していく能力も重要です。
※SSKCLUBは①②をふまえて学習の体系ができています。
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